農業未体験だったわたしが、6年かけて噛み砕いた岩澤理論【大豆編】vol.3
2013年から、夫婦で「耕さない田んぼの教室」を開いています。旦那さんのたけしくんは2007年から岩澤信夫先生の「冬期湛水不耕起移植栽培」を学び、千葉県南房総で実践を重ねてきました。この記事は、作物を育てた経験が無く、小さい頃から理科のお勉強にもまったく興味のなかったわたしが、岩澤先生から農法を学び、実践してきたたけしくんの話をもとに、作物のそもそもから、栽培についてを分かりやすくお伝えするシリーズです!
◆岩澤先生とは?
岩澤信夫(1932- 2012)は、家業の農業に従事し、60年代末〜70年代はじめにスイカの早期栽培に成功した後、70年代末からは、農家のコメづくりのための農業技術を研究。長年の試行錯誤の結果、冬期湛水不耕起移植栽培を確立し、耕さない田んぼで農薬も肥料も使わずに多収穫のイネを作ることに成功した。
◆第一回は大豆のはなし
いよいよ、今日で最終回です!
前回、岩澤先生が農家さんの収量アップの為に考えた、多収量栽培の育苗技術(大豆のへそ曲がり栽培法)について書きました。
岩澤先生は、冬期湛水不耕起移植栽培によって、農家さんのための稲作の栽培に成功したあと、大豆の多収栽培の確立にも力を入れていたそうです。
まずは小さい面積でも、この育苗技術を全国各地で実践してもらって、ともに第一歩を踏み出してもらいたいとおっしゃっていたそう。
たけしくんは2007年に、岩澤先生からこの育苗法を教わり、『耕さない田んぼ』の生徒さんに講習会を開いたり、今年は縁あって、遠くミャンマーから研修生が来て、久しぶりにこの育苗法を教える機会がありました。
「種まき」→「土中緑化」→「断根と生長点をとる」→「挿し木」という、一連の行程によって、小面積でも多収穫が可能な苗をつくることができます。
この苗作りの、“具体的な手順を知りたい”、“トライしてみたい”と思った方へ!!
岩澤先生から教わった方法をもとに、たけしくんが実際に作っている手順を詳しく公開します!
みなさま、ぜひご覧ください╰(*´︶`*)╯
◆まずは前回のおさらいから
大豆の性質について
1:大豆の主な成分はタンパク質
2:大豆は、葉で光合成したデンプン質と、根から吸収された窒素をもとにタンパク質を作っている。
3:大豆は根粒菌(こんりゅうきん)と共生している。根粒菌は、大気中に多量にある窒素ガスをアンモニアに変換(窒素固定)して、大豆に供給してくれる一方で、大豆が光合成で生産した炭水化物を得ている。
4:大豆は開花時に十分な栄養分(窒素と水)があれば、たくさん実をつける。
5:大豆は窒素肥料を与えれば与えるほど、カラダがどんどん成長していって、実らない。(ツル化・ツルボケ)
6:大豆がツル化・ツルボケを止める為には摘芯をする。
岩澤先生が考えた、大豆の可能性を引き出す育苗法について
◎発芽時に種子根を取り除くことで、摘芯と同じ効果がある。
◎種子根を切ったあとに、挿し木をした茎の地際から発生する根(不定根)は、多くの茎を支える能力がある。そこで、1本しか出ない茎を2本の茎にすることができれば、大豆1本の植え付けで2本分の収穫になる。2本の主茎を伸ばすためには、生長点をとる。
ここまでが前回の要点です。今日はその続きから、お話しします!
挿し木をした茎から発生する根を強い根にするために
大豆は、土の中で発芽し、種子を地上に押し上げていって、それが最初の葉(子葉)になります。
発芽した時は土の中にいるので、大豆の茎は、透明に近く、色素を持っていません。
大豆が発芽するときに、茎が葉緑素を持っていればその大豆は太い根を出すことができます。
そこで、発芽時に、子葉の茎になる部分に太陽光をあててあげる、これを『土中緑化』と言います。
栽培地を耕すか、耕さないか?
畑を耕すと、土壌に酸素が供給され、土壌微生物は好気性菌に偏り、腐食質が分解されるのが早く、有機物が不足していきます。
したがって、うちでは耕さない田畑での栽培をお勧めしています。
追肥について
岩澤先生のマニュアルでは、開花前の蕾のときに、窒素肥料をたっぷりと追肥します。
たけしくんの場合は、特に初年度は、作物の育ち方や、畑の状態などを観たいから、肥料は与えていません。
状況によっては液肥を与えることもあるけど、同じ場所で年数が経てば、畑が出来上がっていくはずだから、最終的には肥料を与えないのを理想にしているとのこと。(この、たけしくんの畑の作物に対する考え方は、また次の機会にお話ししたいことのひとつです)
YouTubeで動画を公開(※2020.6月更新)
小面積で多収穫!「1本の苗から2本の茎を伸ばす大豆の苗づくり」
では、いよいよここからは育苗の手順と、移植〜開花までの管理について
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