エロティックな朝方の焼き柿
「明日の朝は“焼き柿”を食べるぞ」
と、昨日の夜から決めていた。
朝、顔を洗って、まだ眠たそうな顔で
のんびりと作る焼き柿。
作るといっても、切れ目をいれて、
トースターで10分焼くだけ。
その10分の間に、伸びをしたり、
ストレッチをしたり、ぼーっとしたり。
途中経過を見ると、
柿の果汁がぷくぷくと気泡をつくっていて、
とっても愛おしい。
“チンッ!”
トースターの扉を開けると、
柿がじゅうぅぅ〜っと音を立てている。
熱々に焼けた柿をお皿に乗せてテーブルへ。
ペロッと皮を剥くと、身と皮の間に溜まっていた柿蜜がぽとっと滴り落ちる。
シャキッとどっしり堅実そうな見た目をしていたのに、焼かれて朝の日差しに照らされた途端に艶やかさを増す焼き柿がなんともエロティック。
そんな焼き柿に魅了されながら、
とろっとろな焼き柿をひとくち口にすると、
完熟した柿のような自然な甘みが
どっと押し寄せてきて、
こちらまで溶けていきそうだ。
どんどん食べ進めていくと、ペロりんドロりんじゅるるる柿蜜の大洪水が起きた。
実家にいたときは、私が誕生したときに
祖父、兄、姉が植えた柿の木のおかげで、
秋になれば1日3個くらい柿を食べるときもあった
普通はこんな贅沢なことできない
って恥ずかしながら上京してから気がついた。
「秋の味覚」「実りの秋」「食欲の秋」
食べ物だけでもこれだけ「〇〇の秋」がある。
秋ってずるいよな。