3月10日、小曽根真さんと沖響のコラボ公演を聴いてきた話
先日のこと。
Instagramを開いたら、目に飛び込んできた友人の小鍋悠さんの投稿…読むと、ジャズピアニストの小曽根真さんの沖縄公演が一週間後にあるという。
小曽根さん、ちょうどよく聴いてたところ。
しかも沖響とコラボで「ラプソディー・イン・ブルー」をやるって。
わー行きたい、と思い沖響のサイトを見ると、数日前の情報で「S席完売、A席残り数席」とあった。ご縁があればラッキー、ぐらいの気持ちで座席を調べたところ、キャンセルが出たのかS席の最前列に1つ空席が。チケットの神様ありがとう!
「第1674回 トヨタコミュニティコンサート in KOZA 沖縄交響楽団特別演奏会」沖縄市民会館大ホールにて。音楽監督は三枝成彰さん。
演奏曲目は、コープランド、バーバー、バーンスタイン、ガーシュウイン、の4人のアメリカ人作曲家の作品から。
川瀬賢太郎さんの指揮かっこよかったな。ノリがよくて、キレがあって、でもなにより素敵なのは本人が音楽を楽しんでいるのがこちらに伝わってくること。
「ビヨンド・ボーダーズ」を未聴だったため、小曽根さんの「ラプソディー・イン・ブルー」をオーケストラ版で聴くのは初めて。(「小曽根真 featuring No Name Horses」としてのビッグバンド版の音源は聴いてたけど)
そもそも小曽根さんの演奏も沖響の演奏も生で聴いたの初めてだった。
めちゃめちゃ楽しかった。この曲、生オケで聴くと本当に楽しい。
コンマスの崎谷直人さんもチューニングで観客の笑いを誘っててお茶目な方だな〜と思ったけど、舞台袖から「いってきまーす」という声がして登場した小曽根さんのソロは遊び心満載でした。ビバップ 、シンコペ、内部奏法、どんどん移り変わっていくピアノのアイデアと音の表情、楽しかった〜。ときどき差し挟まれるショパンの不意打ちに笑う。音の緩急に余裕と愛を感じます。どこかあたたかいのは、人柄かな。
アンコールは、小曽根さんによるピアノソロで、あとで調べてみたら「あしたの、喜多善男」というドラマのメインテーマ曲だったみたい。
私はその曲を知らなかったのだけど、小曽根さんが「僕の曲をやります。My Tomorrowという曲です。」と弾き始められた瞬間、そっと音に導かれるような、音楽で心が満たされる時にいつも感じる嬉しさと郷愁の感覚に包まれました。
この日は3月10日だったから「My Tomorrow」というタイトルはなんだかいっそう心に沁みて、ちょっと寂しげで優しいメロディーが静かに人々を勇気づける鎮魂歌のようにも聴こえたし…、明日は本当に不確かなもので、だから今過ごしている一瞬一瞬を慈しんで喜びを見つけることこそやりたいことだとあらためて気付かされたひとときでした。
私の気のせいかも知れないけど、ピアノの音が最も「オン」になって聴こえた時間帯だったように感じた。
ありがたい時間。
初めての生・小曽根さんのピアノ。
胸いっぱいになって、なんだかCDの列に並んでまとまってない感想を言ったりすることもできず、1人になりたくてひっそり帰りました。
この日のピアノは、世界に5台ぐらいしかない(だったかな?)静岡から2週間かけて運ばれてきたヤマハの最高級グランドピアノ、CFXだったそう。小曽根さんにとってもCFXにとっても初の沖縄、そんな日に立ち会えて嬉しかったな。
毎年3.11が巡ってくるたびに、あの日〜数ヶ月間の東京での出来事とか、当時感じていたこととか、訪れた東北のいくつかの街のことを想います。
蘇る記憶は変わらないけど、感じることは刻々と変わっていく。
私にできることは、感じていることや感じたいこと、愛を音にすること。
インスタのポストで私に行くきっかけを作ってくださった悠さんに本当に感謝。蓋を開けてみたら悠さん司会だし!フレンドリーでラブリーな司会だったなあ。大役お疲れさまでした。