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ドル安円安株高のリスクオン相場到来?

利下げでもドル円上昇?中立金利は引き上げられた

ドル円相場、東京前場で143.92円まで上昇しました。0.5%利下げのヘッドラインでは140.44円まで下落したのですが、パウエル議長会見から猛烈な巻き返しです。

ドル円5分足と日米金利差(2年)

パウエル議長会見、「7月の米雇用統計で労働市場の軟化が示されていれば、7月下旬のFOMCで利下げに着手していた可能性があった」と述べていました。8/2の7月分雇用統計で失業率が4.3%に悪化しサームルール発動となりましたが、FOMCはこの雇用統計発表前だったため、このデーターを織り込んで動けなかった、という話です。つまり大幅利下げは「後手に回らないという決意の表れ」であるということで、一部で浮上する「出遅れ」批判に反論した格好ですね。

しかし「0.50%の利下げを新たなペースと見なすべきではない」としており、ドットチャートも年内あと2回のFOMCではそれぞれ0.25%づつの利下げ見通しが示され、今後についてはアクセルを踏んで利下げを急ぐ状況にはないという姿勢を示しています。これが金利の反発、ドル円上昇をもたらしたようにも見えますが、それよりも重要なのは今回ドットチャートでロンガーラン(中立金利=長期金利見通し)が2.9%に引き上げられ、これまでの想定よりターミナルレート(利下げの最終着地点)は低くはならないことが示されたことにあると思います。

今回、ターミナルレートの予想が上方修正されたことで、中立水準に到達するために必要な利下げ幅が理論上、減ったことになる。

ということで、長期金利ゾーンが勢いよく上昇しているのでしょう。

米国債利回り 長期金利のリバウンドが大きい

一気に0.5%の利下げが行われ、これから利下げサイクルに入るということもあり短期金利の反発は鈍いですが、利下げ(緩和)によって将来のインフレ期待が高まるために長期金利は上がりやすくなる=イールドカーブのスティープ化が起きやすいという指摘もあります。
9/6に解消された逆イールドですが、長期金利のリバウンドが大きいため長短金利差はより拡大していますね。

長短金利差(10年2年)は0.136%にまで拡大

これまでにも何度も取り上げていますが、逆イールド解消、長短金利差拡大のフェーズにはいると程なくして「景気後退」がやってくるというのはよく知られた話です。FOMC翌日の9/19(木)のNY株式市場は大幅利下げを好感してか勢いよく上昇していますが、景気後退が見えてくれば上昇は止まる、むしろ下落しますので、注意が必要ではあります。問題はそれがいつ、どのタイミングで訪れるのかですが。

長短金利差とリセッション ピンクシャドーが景気後退期
9/19(木)米国株市場 上昇加速中AM2:00

利下げを好感し「リスクオン」クロス円が上昇

今夜ダウもS&P500も再び史上最高値更新となりそうですが米株だけでなく、日本株市場も堅調でした。日経平均は今回の暴落幅の半値戻り水準で上値が重く推移していましたが、今日ここを抜けてきました。

日経平均日足 9/19(木)+777.16円 37155.33円

更に、今夜の夜間取引、先物市場ではさらに上昇しています。200SMAを超えて38000円台に乗せるか?

日経平均先物

0.5%利下げでもドル円相場が崩れなかった事が大きいと思われます。日米株高=リスクオン相場の様相となってきたことから、クロス円が上昇していますね。

ドル円 ユーロ円 ポンド円
NZ円 豪ドル円 カナダ円 軒並み上昇

クロス円上昇の背景にはドルストレート通貨の上昇があります。ユーロドル、ポンドドル、豪ドルドルなど全て上昇しています。つまり「ドル安」です。

ドル人民元 ユーロドル ポンドドル
NZドルドル 豪ドルドル ドルカナダ

何が起きているか、通貨インデックスで見ればわかりやすい。リスクオフ時に買われる代表格通貨、ドル、円、スイスは下落、その他の通貨がすべて上昇しています。つまりリスクオン相場。

通貨インデックス比較 

クロス円上昇に引っ張られてドル円は下がりにくいとも言えますが、基本はドル安円安の相場ですので、ドル円をトレードする妙味は薄い。今の相場はドルストレート通貨でドル売りをするか、クロス円で円売りをするのが良いと思います。

今日はドル円押し目を狙って買いたいと思っていたのですが、あれよあれよと143.90円台まで上昇し好機を狙えず。ドル高になっているのは円に対してだけで、ドルは全般的に弱いためドル円ロングを狙うのはやめます。

ポンドドル1.3260ドルで買ってみました。
今日はBOE会合がありましたが、利下げは見送られ据え置かれました。

ポンドドル日足

ポンドドル、月足でみると長期レジスタンスライン超えてきました。200SMAは下向きなので上昇トレンドとは言えませんが、200SMAに接近する上昇のフェーズかも?という期待。

ポンドドル月足

中銀ウィーク、南アは利下げでも上昇、明日日銀会合

南アフリカ準備銀行(中央銀行)は政策金利を15年ぶり高水準から25ベーシスポイント引き下げた。金融緩和は約4年ぶり。

政策金利を8%に。

南アフリカ政策金利推移

利下げですが、このところ南アフリカランドはしっかりです。今日も下がっていません。利下げで景気刺激となるとの前向きな反応。また、南アにはパラジウムやプラチナのPGM鉱山がありますが、足元でPGM価格が反発上昇していることも材料でしょうか。

ランド/ドル
ランド/円

英中銀(BOE)は今日、MPC会合で金利据え置きを発表しました。
8月会合で5.25%から5.0%に利下げが行われましたが、今回は利下げなし。

・英中銀は利下げ急がない方針表明、市場が織り込む年内利下げ幅縮小
・利下げせいぜい四半期に1回の公算、ポンド上昇続く-みずほ
~短期金融市場が織り込む英中銀の年内利下げ幅は42bpに縮小した。政策判断発表前は50bpと見込まれていた。
「利下げはせいぜい四半期に1回の緩やかなペースで進む公算が大きいことを全てが示唆している」

英国政策金利推移 

ここからは株が堅調であればクロス円の押し目も狙ってみたいですね。景気後退を織り込む株下落が来るまでの間ですが。

明日は日銀金融政策決定会合です。政策金利の変更は見込まれていません。注目は植田総裁の会見です。タカ派的スタンスを貫くなら円高となる局面がありそうですが、よほどの失言がない限り、そこはクロス円を拾う好機となるのでは?と思っているのですが、さて・・・。

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