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NVIDIA決算~ドル円下落基調強めた背景

NVIDIA決算良好も時間外で5%下落

NVIDIA8-10月期決算総収入と利益の実績に加え、2025年1月までの今四半期の業績見通しも市場予想を超える良い内容でした。総収入が前年同期比93.6%増の350.82億ドル、1株当たり利益(EPS)が101.5%増の0.81ドル。市場予想は、総収入が332.50億ドル、1株当たり利益が0.74ドルでしたので、通常なら申し分ない内容なのですが、時間外取引でNVIDIA株は一時5%を超える下落となりました。

問題は11-1月期見通し。これも市場予想をやや上回ったのですが、市場の期待値が高すぎるのか、あるいは伸び率としては減速していることが嫌気されたのか。

■第4四半期(11-1月)の売上高見通しは市場予想をやや上回る。
・11-1月期の売上高見通しは375億ドル。
・アナリスト予想は370億9000万ドル。
・エヌビディアの見通しは11-1月の増収率が約69.5%と
 8─10月期の94%から減速、7四半期ぶりの低い水準になることを示す。
・依然として高い伸び率だが、売上高が少なくとも倍増していた過去
 数四半期と比べると明らかな減速。

NVIDIAに関してはそもそもの期待値が高いため、決算後の上昇期待で買った短期筋が期待外れだったとして売っているだけのことで、今夜米株市場でNVIDIA株の売りが断続的に続くかというと、長期投資家はここでNVIDIAを売ることはないような気もします。明日、遠足なみに早起きなので今日は早めのnote更新ですので、今夜の米株市場を見ることができないのですが、今日は東京時間引け後の夕刻にNY連銀のウィリアムズ総裁の発言が米金利を押し下げていますので、米市場全般はNVIDIAを材料に売られるというよりは金利低下を好感して買われるのではないかと思っています。

ただし、今日21日(木)の東京市場では、半導体・電気機器・精密機器などハイテク株を中心に売られました。これはNVIDIAの株価動向を受けての反応かと思われますが、半導体銘柄の影響を強く受ける日経平均は今日も下落を強いられました。買い材料が見当たりませんね。

11/21(木)日経平均 ▼326.17円 38,026.17円

夕刻からのドル金利急低下、ドル円急落の背景

ビットコイン市場ではトランプトレードが加熱していますが、米長期金利は11/13(水)トランプ大統領返り咲きが決定してから1週間後にはピークアウトしたようにみえます。

米国債利回り

ドル円は11/15(金)が高値となるか?米金利低下の影響もありドル円相場今日21日(木)は円高圧力が強まりました。

ドル円日足

今日の円高、考えられる材料は4つほどあります。どれが最もインパクトがあったかはわかりませんが、複合的に円買い圧力が高まったと思われます。

①植田日銀総裁のパリ・ユーロプラス「ファイナンシャル・フォーラム」で講演(都内開催)英語発信

「次回12月の金融政策決定会合まで1か月ほどあり、それまでに多くのデータが出てくるため次の会合での結論を予期するのは不可能だ」と述べました。12月会合での政策変更は現時点では示唆できないとするスタンスで、今週月曜日に注目された講演内容と(結果、利上げのヒントが得られなかったとしてむしろドル円が上昇した)ほぼ変わらないように見えるのですが、今回の講演は「英語」で発信されたということで、海外勢がこのコメントをどのように受け止めたか、という点が注目です。植田総裁の発言は、12月会合までに出てくる多くのデーターが利上げを正当化するものなら利上げもあり得ると捉えることもできる、として円買いにつながったと指摘する向きもあります。

QUICKが18日発表した11月外国為替市場の月次調査では、12月の日銀会合で追加利上げを「実施しない」との予想が67%。12月利上げはまだマーケットに完全に織り込まれていないのですね。12月の利上げの確度が高まるデーターが出てくると円高に触れやすくなる可能性が大きいと言えます。

②ウィリアムズ米NY連銀総裁のバロンズインタビュー

「金利はさらに低下する可能性がある」
「ディスインフレは続く。インフレは沈静化しつつある」

このところ、強い米指標とパウエルFRB議長の利下げを急がない主旨の発言などで12月利下げスキップ観測や来年の利下げ回数が現在の4回の見通しから2回~3回に低下するとの見方が広がっていました。
日曜に確認した際のCME FedWatchでは12月の利下げ織り込み確率が61%程度ありましたが、今確認すると55.7%まで低下しており、じりじりと12月利下げ確率が後退していますが、ウィリアムズNY連銀総裁がこの見方によって上昇してきたドル金利を低下させたと見られます。よってドル円下落。

CME FedWatch

③ロシア、初のICBM発射か?

ウクライナ空軍は21日、ロシア軍が同日早朝、露南部アストラハン州から大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を発射し、ウクライナ東部の都市ドニプロを攻撃したと発表しました。これを受けたリスクオフで資金逃避の意味での円買いではないか、という見方もありますが、米CNNは、西側の当局者が「弾道ミサイルだがICBMではない」と話したと報じており、情報は錯綜。リスクオフで円高という見方が正しいかどうかはっきりしません。ただ、本当にICBMを使用したとすると人類史上初の大陸間弾道ミサイル実戦使用ということですので、戦争のフェーズが一段と上昇、悪化したということですので、看過できるものではありません。戦争の不確実性と撹乱要因はリスクを積極的に買うことが難しく、マーケットの上値を抑える要因となります。

そしてもうひとつは、NVIDIA決算を受けた日本株市場の軟調な展開での円買いの可能性。夕刻18:30には日経平均先物市場で37700円台まで安値がありました。この日経先物下落に歩調を合わせた円買い加速でもありました。

今夜の米指標はまちまち

11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ▼5.5
(予想:8.0、10月:10.3)
~予想より悪い:前月より悪化

先週分新規失業保険申請件数:21.3万件
(予想:22.0万件、前回:21.7万件)
~予想外に減少、良い数字

ここからは、米国が本当に12月利下げを見送るのか。日本は12月に利上げをするのか、という日米の金融政策が重要です。今後も12月FOMCまでに米指標が良好であれば12月利下げ織り込みが更に低下し50%を割り込んでくる可能性も否定できません。今日はウィリアムズ総裁がそうした見方に水を差したのですが。また、日銀の12月利上げがマーケットにまだ完全に織り込まれていないのも注意が必要です。来年の春闘の賃上げの大枠の見通しなど材料が揃えば日銀が12月にも利上げに動く可能性は否定できません。少なくとも足元のドル円相場の上昇を日本の通貨当局は牽制しており、本来なら為替市場を意識した金融政策変更はあってはならないのですが、ドル高円安が進んでいれば利上げもありうるという見方も少なからず存在します。

通貨インデックスの今年の推移を見ていると、今日はドルは横ばいですが、明確に円高です。地政学リスクだというならスイスフランがもっと買われてもいいように見えますが、フランはあまり上がっていません。ユーロが売られているのはドイツ連立崩壊や景気悪化、ECBの利下げが続くなどの観測がありますが、ロシア、ウクライナ戦争のフェーズ悪化は欧州のリスクでもあるためユーロが売られるという側面も大きいでしょう。

円の強さだけが目立った今日、やはり今日の英語での植田総裁の講演が海外勢に日銀の早期利上げ観測を強める動きにつながったのかもしれませんね。

通貨インデックス

凝りずにドル円を154.51円で再度売り参戦。

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