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雇用統計NFP急減も金利高継続~大統領選挙と債務上限問題

雇用統計、NFPが急減も金利上昇

雇用統計、NFP(非農業部門雇用者数)が桁が違う結果で目が点になりました。最初+12万人かと勘違いしてしまいました…だって予想が10~11万にんでしたものね。結果はなんと1.2万人。1万2000人です。

■非農業部門雇用者数:+1.2万人 2020年来で最低の伸び
   予想:+11万人、9月:+22.3万人←+25.4万人

■失業率:4.1%
     予想:4.1%、9月:4.1%)

■平均時給:前年比+4.0%
       予想:+4.0%、9月:+3.9%←+4.0
     :前月比+0.4%  平均時給、前月比が予想を上回る。
       予想:+0.3%、9月:+0.3%←+0.4%

しかも、過去2ヶ月分がまたも大きく下方修正されていました。ストリートインサイツ安田佐和子氏のポストです。

過去2カ月分は、11.2万人の下方修正
8月分:15.9万人増→7.8万人増、8.1万人の下方修正
9月分:25.4万人増→22.3万人増、3.1万人の下方修正

前回9月分の25.4万人は22.3万人だったか。それでも9月の数字は強いですけどね。マーケットはまずNFPの数字(ヘッドライン)に反応しますから、ドル金利、ドル円相場は初動で急低下したのですが、その後V字で反騰。結局金曜日は金利高で終えました。一体なぜ・・・?

ドル円15分足と日米金利差(2年) 金利急低下も急反発

長期金利は猛烈に上昇して金曜の取引を終えています。

米国債利回り

ハリケーンや港湾ストの影響があるかもしれないという予想はありましたがここまで数字が予想とブレるとは…。どうやら、雇用統計の回答の回収率が大きく低下したことが背景にありそう。

「回収期間」が通常は10-16日間のところ、今回は「10日間」のみだった、ということで低く出た可能性があるようです。となると、この1.2万人は来月の雇用統計発表時に上方修正が入る可能性があることを警戒しておく必要が。今回のNFPはハリケーンの影響などによる回収率の低さが背景で米国経済の実態はそれほど悪くない、という認識が広がったことで金利が戻ったのだと後講釈するしかありません。平均時給も予想より強く、米経済の失速の兆候はそれほど懸念されるものではなさそうです。その後23:00に発表されたISM製造業景況指数も悪かったのですが、その時間には金利は上昇のフェーズに入っていましたね。

■10月ISM製造業景況指数:46.5 
          予想:47.6、8月:47.2
2022年12月~ずっと50を下回ったままですね。


今週11月6-7日はFOMC、0.25%利下げがコンセンサス

しかし、これらの米指標が悪かったことから今週11/6-7の米FOMCでは0.25%の利下げが決定されるとのコンセンサス98%。今週はほぼ間違いなく追加利下げがあるでしょう。

CME FedWatch

利下げのサイクルにあり金融は引き締めから緩和に向かう流れに変更はないことに株式市場も楽観的となったのか、金曜日は全面高で取引を終えました。ただし、引け味は決していいものではありません。高寄りして上げ幅を削る展開でなんとかプラス圏を維持といったチャートです。

米国主要株価インデックス一覧

金利高の背景~米大統領選挙と債務上限問題

今週は11/5(火)に大統領選挙。
トランプ氏優勢と報じられていましたが、賭けサイトKalshiのトランプ氏優位は急低下、ハリス氏の追い上げでほぼ拮抗するところまで肉薄しています。これは賭けサイトの数字に過ぎませんが。。。

BTC下落はトランプトレードの手仕舞いという指摘も多いようですが、債券市場はどうなっているんでしょうね・・・金利上昇は大統領選挙の織り込みだけではなく、いよいよ25年1月に迫る債務上限問題など米国債格下げリスクを織り込むラリーが平行していると考えるべきでしょうか。
先程も掲載しましたが、米債利回りチャート。上昇が止まりません・・・。

米国債利回り

2025年1月1日には23年6月に連邦債務の上限を停止する「財政責任法案」が失効します。新規の国債発行による資金調達ができなくなるのですが、まあ、しばらくは財政をやりくりしますので、すぐにどうこうというわけではありませんが、この債務上限を引き上げるか、債務上限をまたも停止するか、とにかく議会で決めなければなりません。大統領選挙と議会選挙の結果次第ではこれが想像以上にこじれる可能性もあり、これがリスクとして織り込まれている可能性があります。主要格付け会社のなかで唯一、米国に最上位格付けを付与しているムーディーズ・レーティングスは9月に、米大統領選後の米政府の信用リスクを分析したリポートを公表、政治分断が続いて債務増加など財政の悪化に歯止めがかからない場合、現在の信用格付け「Aaa(トリプルA)」との整合性がとれなくなる」と格下げの可能性を警告しています。

前回2023年の債務上限問題では23年1月に債務が上限に到達したのですが、上限停止法案が議会で可決したのが6月1日でした。半年、なんとかやりくりしたのですが米国債デフォルトのXデー目前でなんとか可決した格好でした。今回も揉めそうだ、ということで米国債が売られているということです。

大統領だけではない、議会選挙結果も重要


大統領選挙と同時に実施される議会選挙の行方も重要です。連邦政府の立法府は、上院、下院の2 つの議院から成る連邦議会です。法案は、両院を通過した後、大統領に送付され署名により成立する流れです。議会が承認しなければ法案が通りません。トランプ氏が大統領になった場合、上下院ともに共和党となれば物事はスムーズに進みますが、議会のどちらかが民主党、あるいは共和党が上下院のどちらも制することができなければ、法案を通すのに時間がかかります。通らないものも出てきます。

①トランプ大統領 共和党 共和党 トリプルレッド
②トランプ大統領 共和党 民主党 ねじれ議会
③トランプ大統領 民主党 民主党 
④ハリス大統領    民主党 民主党 トリプルブルー
⑤ハリス大統領  共和党 民主党 ねじれ議会
⑥ハリス大統領  共和党 共和党  

トランプ氏は2025年末に失効するトランプ減税の延長、法人税減税、社会保障給付に対する所得税の免除等、大規模な減税を公約としていますが、トリプルレッドとなれば実現性が高まるとして、金利が上昇しているのです。すべてを実現させれば7.5兆ドル規模、GDP比で2.1%に達する財政出動となるとの試算もあります。国債発行額が増えますから国債市場の需給悪化から金利高、ですね。景気を上昇させる効果が期待できるため株高期待も大きいのですが、インフレへの懸念も。長期金利上昇はこうした織り込みによるところが大きいと見られます。

しかし、ねじれ議会となればこれら公約のすべての実現が難しいだろう、ということで、金利高の修正が入ることが予想されます。株高の修正も来るかもしれません。

ともかく今週は大統領選挙の結果を受け、これまでのトレンドの逆流のリスクがある、ということに留意しておきたいですね。シーズナリティとしては11月から年末年始に向けて株高が定石であるため、強気も多い印象ではありますが。ただ金利は利下げ局面下でこれほど反発が大きいというのは違和感もあります。どこかで止まると思うんですよね、、、雇用統計では止まらなかったのですが、大統領選挙の結果を受けて、ということはありそうです。

というわけでドル円はもう一度売りたいですね。。152.66円ドル円ショートは雇用統計前にコストに達しポジション消滅してしまいました。

ドル円日足

今週の予定


■11/4(月)日本は振替休日
●米9月製造業新規受注(11/5 0:00)

■11/5(火) 東証、株式の売買時間を15:30に延長
●10月マネタリーベース(8:50)
●米大統領選挙 投開票日
●米9月貿易収支(22:30)
●米10月ISM非製造業景況指数(11/6 0:00)
■11/6(水)
●日銀金融政策決定会合の議事要旨(9/19~20開催分)
■11/7(木)
●9月毎月勤労統計(8:30)
●10月都心オフィス空室率(13:00)
●中国10月貿易収支
●FOMC:パウエルFRB議長、定例記者会見
●米9月消費者信用残高(11/8 5:00)
■11/8(金)
●9月家計調査(8:30)
●9月景気動向指数(14:00)
●オプションSQ
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