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今週FOMCと日銀、ドル高円安どこまで?/仏格下げ、英TPP加盟ユーロポンドに注目

円安トレンド再開?
ドル円相場153円台まで1週間で4円の円安進行


先週ドル円ロング降りちゃったんだけど、その後もドル円上昇は続いています。今週の日銀、FOMCのイベントまでではないかと思いますが、ファンダメンタルズとは無関係にドルを書い遅れていた実需(輸入筋など)が年末にむけてドル買いを強めている=ドル買い需要が強いたけ上昇しているという指摘もありますが、ドル金利もしっかり上昇しておりファンダメンタルズに裏付けられたドル上昇でも説明がつきますが、先週1週間だけでなんと4円も円安ドル高が進みました。

ドル円相場日足、先週1週間で4円も円安が進んだ

ドル金利上昇止まらず

先週は米11月CPI:消費者物価指数やPPI:生産者物価指数が予想を上振れたことで、ドル金利上昇が加速した、という側面も大きかったですね。

米国債利回り ドル金利上昇がドル円上昇の背景に

しかし、CPIやPPIがこれほどドル金利を押し上げるほど強い数字だったか、というとそうではありません。特にPPI、総合は前月から上振れも、コアは概ね前月から横ばいでした。ヘッドラインは強い印象でしたが、鳥インフルエンザの影響で卵価格が前月比+55%上昇したことが影響し、食品価格が0%⇒+3.1%へと大きく上昇したことが主因で、食品とエネルギーを除いたコア財価格は前月比+0.2%と、前月と同水準の伸びにとどまっています。

先週のドル金利上昇は、米財務省が実施した国債入札の不調による需給によるものという指摘もあるようです。13日実施された220億ドル規模の30年債入札は応札倍率が2.39倍と前回6回入札平均の2.44倍を下回っており、需要が弱かったための金利一段高という側面も。クリスマス休暇入りしている向きも多い中、時期的なものも関係しているのかも、ということであまり心配することはないと思いますが、これだけ勢いよくドル金利が上がればドル円も上がってしまうのは仕方ないですね。日米金利差とドル円相場の比較チャートを見れば金利差だけで足元のドル円上昇の説明がつきます。

日米金利差(10年)とドル円

日銀、12月会合では利上げ見送り濃厚

最初の報道は12/4(水)の時事通信と英訳されたMNIの報道でした。日銀が12月の利上げに慎重であるという観測記事。そこからドル円下落基調に終止符が打たれ、円安基調が強まりました。
そして先週は11日のブルームバーグの「日銀利上げ急がず」報道を受け、円安がさらに加速。

週末13日(金)には共同通信が「日銀12月利上げ見送り検討」とより踏み込んだ表現で同様の記事を配信。

これだけメディアが12月利上げに否定的な報道を打つということは、日銀からのリークといいますか織り込ませようという意思を感じるというか。。。11/30の日経新聞の植田総裁とのインタビュー記事、「利上げは近い」は一体何だったのか、と思いますが、12月利上げしなくても来年には追加利上げがあるだろうということを考えればドル円の上値がそれほど大きくないと考えられます。このまま円安が加速しているようだと、今週19日の日銀会合で利上げが見送られたとしても植田総裁の会見では、それほど遠くないうちに利上げがある、とタカ派的発言で為替市場の円安を牽制するのではないか、と思います。ということで、このドル円上昇はせいぜい今週のFOMC~日銀のイベントまでではないかと思うのですが、、、蓋を開けてみないとわかりませんが。

FOMC焦点は12月利下げではなく、来年の利下げ回数と中立金利

現時点で12月利下げ折込は96%。今週18日FOMCではほぼ確実に0.25%の利下げが発表されるでしょう。問題は来年です。現状マーケットは来年の利下げ回数は2回と読んでいます。0.25%✕2回ということは、来年はわずか0.5%しか利下げがない、という予想です。3月に0.25%利下げで4.0-4.25%へ。9月に0.25%利下げで3.75-4.0%へ。米金利は4%前後の金利で高止まりする?流石にこれはあまりにタカ派的な印象。FOMCの金利見通しで来年の利下げが3回と出れば、揺り戻しのドル金利低下、ドル円下落もありそうです。FOMC見通しが2回にまで減らされていたとしても、これはすでにマーケットが織り込んでいるわけでサプライズ感は少ないと思われます。ちなみに9月時点のFOMCでの25年通年での利下げ予想は4回でした。これが3回に減るのか、2回にまで減るのか、ここがポイントです。

CME FedWatch

そして中立金利。9月時点では2.9%まで引き上げられていましたが、これが今回どこまで上がるか。2023年までは中立金利は長く2.5%に据え置かれていましたが、今年のFOMCでこれが徐々に切り上がっています。中立金利=長期金利見通し=ターミナルレートです。FRBが目標とする今回の利下げの到達点が更に引き上げられていると、コレはタカ派メッセージですので、ドル金利上昇の燃料となりますが、小幅であればそれほど驚きはありません。市場はすでに4%前後で来年の利下げがストップすることを織り込んでしまっているためです。

今週はFOMCを受けて、足元急上昇している米金利がさらに上昇するのか、上昇が止まるのかでドル円相場も決定づけられると思います。日銀に関しては、12月の利上げに慎重であったとしても、利上げのサイクルに入ったばかりですので、円売り、円安は限定的になると見ていますが、、、。

ムーディーズ、フランス国債格下げ

ムーディーズ・レーティングスは、フランスの信用格付けを「Aa3」に引き下げた。従来の格付けは「Aa2」。フランスでは財政赤字削減を巡る対立で政治の混迷が深まっており、13日には過去1年で4人目の首相にフランソワ・バイル氏が就任した。

格下げは通常当該国の通貨売り要因。フランスということでユーロ下落要因でしょうか。週末の報道ですので、先週の為替市場には織り込まれていないと考えられます。週明けからユーロ売りとなるでしょうか。

英国、TPP正式加盟

英国は15日、環太平洋連携協定(TPP)に正式加盟した。
英政府の推計によると、TPPは長期的に英経済を年20億ポンド(約3900億円)押し上げ得る。

英国は先週発表された10月GDPが予想外のマイナスだったことから、週末にかけてポンド売りが広がりました。

強い米国のドルに対してポンドの下落は続いています。
この流れはなかなか変わりそうにはありません。

ポンドドル日足

しかし、仏国債の格下げなど売り材料の多いユーロとポンドを比較すると全く違ったチャートですね。コレはユーロ/ポンド週足チャート。

ユーロ/ポンド週足

2016年のユーロ上昇ポンド売りとなったのは、想定外のブレグジットによるものです。まさか国民投票で英国民がEU離脱を選択するとはマーケット関係者を思っても見なかったのです。これでユーロが吹き上がりました。
その後、ずっとレンジが続いていたのですが足元でそのレンジの下限を割り込みそうです。ここを明確に抜けて下落するとユーロ売りが加速しそう。

足元GDPの弱含みでポンド売りとなっており、ユーロポンドも反発しそうですが、英国のTPP加盟による経済効果などから英国経済の先行きは欧州と比較するとそう悲観的ではありません。ユーロポンドは戻り売りでレンジ下限ブレイクを狙っても面白そうです。

ユーロポンドのレンジ下限が決壊してユーロ下落が加速すると、ユーロドル、ユーロ円にも波及しそうですね。ユーロドルのパリティ(1ドル=1ユーロ)も絵空事ではないのかもしれません。

今週の予定

■12/16(月)
●10月機械受注(8:50)
●10月第三次産業活動指数(13:30)
●中国11月鉱工業生産(11:00)
●中国11月小売売上高(11:00)
●米12月ニューヨーク連銀製造業景気指数(22:30)
■12/17(火)
●FOMC(~12/18)
●米11月小売売上高(22:30)
■12/18(水)
●日銀金融政策決定会合(~12/19)
●11月貿易収支(8:50)
●11月訪日外客数(16:15)
●パウエルFRB議長、定例記者会見
●米7-9月期四半期経常収支(22:30)
●米11月住宅着工件数(22:30)
●米11月建設許可件数(22:30)
■12/19(木)
●日銀、政策金利発表~植田日銀総裁会見
●米7-9月期四半期GDP個人消費・確定値(22:30)
●米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(22:30)
●米11月中古住宅販売件数(24:00)
●米10月対米証券投資(12/20 6:00)
■12/20(金)
●11月全国消費者物価指数(8:30)
●米11月個人消費支出(PCEデフレーター)(22:30)

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