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米利下げ幅0.5%確率上昇、今週は中銀ウィーク

WSJ紙ニック・ティミラオス氏記事で0.5%利下げ確率上昇

英語版記事は12日AM1:03、日本語訳は13日12:59に配信されたこの記事で今週9月17-18日開催のFOMCでの0.5%の利下げ確率が50%にまで急上昇。

【FRBの利下げジレンマ「大きく始めるか小さく始めるか」】

https://jp.wsj.com/articles/the-feds-rate-cut-dilemma-start-big-or-small-eeebb539?st=1SYb8Z

直前まで市場は80~90%の確率で0.25%の利下げというのがコンセンサスだったため、サプライズとなりました。ニック・ティミラオスというのは著名なFEDウォッチャーとして知られており、彼の発信する記事にはFEDの思惑が色濃く反映、(FRB関係者のリークを発信する役割を担うとも)されると認知されています。

「11月と12月に0.5ポイントの利下げが実施される公算が大きいと考えているのなら、金利が最終的な目標からより遠い今こそ動くべきだ、と当局者が結論付ける可能性もある。」9月に0.5%の利下げの可能性があることが示唆されると市場は素直に折込に動いたわけです。特に政策金利であるFFレートの影響を最も受けやすいとされる短期金利(2年債利回り)が急低下。

米国債利回り、2年金利がさらに低下

ドル円は140円大台割れ覚悟?投機筋の円ロング増加

ドル円相場は金利低下の素直に反応。8/5(月)のブラックマンデーの下落で示現した水準を割り込む円高となりました。140円台です。

ドル円日足

ドル円相場は2番底どころか、一番底を探りに行く展開です。
月足でみると2021年1月が今回の上昇トレンドの底とするなら3年半の上昇に対しての0.382%の調整が139.27円。週明けはまずここを狙いに行くものと思われます。

ドル円月足

投機筋は円ロングを積み上げています。円キャリー再開の気配はありません。なんと5.5万枚までネット円ロング。

FOREX WATCHER IMM通貨先物ポジション

円ロングが積み上がってくることで将来懸念されるのは、このポジションの巻き返しでの円安です。2000以降、円ネットロングの最大枚数はせいぜい6~7万枚です。円ショートは18万枚まで膨らみましたが、それはキャリーポジションですのでスワップ収入がある分長期化しやすかった。しかし、円ロングポジションはスワップ支払いでのポジションですので、長期保有はコストがかさみます。つまり円ショート時より長期化しにくく、ボリュームもそれほど大きくはなりません。

ではいつこの円ロングが巻き返されるか?ひとつのイベントとしてFOMCが挙げられますが、9月FOMCで0.5%利下げがあれば、材料出尽くしで一旦手仕舞いで円安となるでしょうか?しかし、利下げはまだ始まったばかりです。ドル金利低下のサイクルが続くとなると、手仕舞いでのショートカバー的なドル円上昇があっても、ふたたび上値は抑えられそうです。

大幅利下げ観測で米株上昇、日本株は円高と米株高で・・・

これは週末金曜日までの日経平均先物のチャートです。2番底を試す展開になるかと身構えていましたが、ドル円が今年の安値を更新する円高となる中、意外と下げ渋っています。36170円台です。8/5は30370円と31000を割り込むところまで売られていましたが、大きくリバウンドした後、高い位置で踏みとどまっています。

日経平均先物

米株が堅調であることも影響しているでしょうか。ダウやS&P500は再び最高値を伺う展開ですし、ヘッド・アンド・ショルダーとなるかと懸念されたSOX指数も先週はNVIDIAの猛反発でリバウンド基調に入り、ネックライン割れを回避。半導体セクターの巻き返しは日経平均にとっては好材料です。

主要米国株インデックス

しかし、こんなに米株が高く堅調なのに大幅利下げなどあるんでしょうか?
サームルールとか、逆イールド解消とか、景気後退シグナルが点灯、労働市場の減速が警戒されているとはいえ、資産効果の影響か個人消費はそれ程落ち込んでいませんし、利下げによって再びインフレが加速するリスクはないのか、とも思うのですが、、、現状0.25%の利下げと0.5%の利下げの確率はちょうど五分五分ですが、0.25%の利下げに留まればこの株高の勢いは流石に止まるでしょう。市場が落胆するということで。

0.5%の利下げでも材料出尽くしで株に手仕舞いが入る可能性もあるのでは…?とも思いますが史上最高値を更新していくのでしょうか。。。

ゴールド先物価格は2600ドル台へ、史上最高値更新

大幅利下げ観測はゴールド価格をも押し上げています。

COMEXゴールド先物日足

そもそもゴールドには金利がつきません。(リースレートはありますが、微々たるものです)高金利下ではゴールドは上がらないとされていますが、今回の米利上げ局面では中国を始め新興国中央銀行がゴールド購入を大きく増やしたことなどでゴールド価格は金利高でも下がりませんでした。金利低下局面に入ると、そうした新興国の買いだけではなく、教科書通り金利高でゴールドを手放してきた欧米勢がゴールド買いに転じます。

FFレート利下げ局面のゴールドパフォーマンス

今週は中銀ウィーク、英中銀、日銀は?

今週は米FOMCだけにあらず。世界の中央銀行の会合が予定されています。

世界の中銀、36時間の政策決定ラッシュ-市場はFRBと日銀を注視
18日に見込まれる米連邦準備制度の利下げ決定で、36時間にわたる金融市場のジェットコースターが始まり、締めくくりは日本銀行の植田和男総裁が20日に開く記者会見だ。

・ブラジルは3年半ぶりに引き締めを行う可能性
・英中銀は金利据え置き?バランスシートの縮小ペースに注目
・南アフリカ共和国は2020年以来の利下げ実施予想
・ノルウェー4.5%に金利据え置き予想
・トルコは6会合連続で金利を50%に据え置く可能性

締めくくりは日銀。週末にはこんな記事が。

「9月会合での利上げは考えられない」。複数の政府関係者は以前からこう強調してきた。このタイミングで金融政策を修正すれば、自民党総裁選に影響を与えかねない。こうした決断を日銀がするはずがないし、政府としても容認できないとの考えからだ。

日銀は独立機関であって、本来、政治スケジュールを配慮する必要はないのですが、7月の日銀でブラックマンデーを引き起こしたばかりです。今回の追加利上げ予想はありません。しかし、植田総裁の会見の注目度は高く、タカ派コメントに終始するようだとさらなる円高リスクもありそう。市場は年内追加利上げの可能性を排除していません。

先週ECB(欧州中央銀行)が利下げを決定、欧州の金利は3.5%に低下しました。今週はいよいよ米国が利下げに踏み切ります。その幅に注目ですね。

主要国政策金利推移

短期反発狙いの142.12円ドル円ロングは141.90円でストップ発動、損切りとなりましたが、円高圧力の強さを見て141.55円でショート参戦。金利差縮小を軸にするならユーロ円も良さそう、ということでユーロ円156.78円でのショートも作っています。
短期金利推移、金利が上昇しているのは円だけ。

2年債利回り一覧

今週の主な予定

16日(月)敬老の日祝日のため東京市場は休場
米NY連銀製造業景気指数(9月)

17日(火)
カナダ消費者物価指数(8月)
米小売売上高(8月)

18日(水)
月例経済報告(9月)
訪日外客数(8月)
英消費者物価指数・生産者物価指数(8月)
ブラジル中銀政策金利
米FOMC

19日(木)
NZ GDP(第2四半期)
豪雇用統計(8月)
英中銀政策金利
米フィラデルフィア連銀景気指数(9月)
米新規失業保険申請件数(14日終了週)

20日(金)
日銀金融政策決定会合
日本消費者物価指数(8月)
カナダ小売売上高(7月)
ラガルドECB総裁、IMFイベント講演

22日(日)
英労働党大会(25日まで)

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