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原宿とMILK

中学になってからのファッションバイブルは「女学生の友」(小学館)の付録に毎号ついてきたファッション誌。an・anよりかなり現実的で、中1時代はドはまりでした。ブレンダというモデルが大好きで、麦わら帽で軽井沢をサイクリングする特集に憧れ、親や祖母に頼み込み、めでたく夏は軽井沢へ。ところが宿泊したのは、レークニュータウンという旧軽からは相当離れたところで、「女友」が描いていた世界とはかけ離れていてがっかりしたのをよく覚えている。でも、麦わら帽子とタンデムのサイクリングはお約束。妹と乗ったなあ。
 ところで、最愛ブランドができたのはちょうどこのころ。とにかく原宿に行かなければ何一つ始まらないという時代で、これまた親に頼み込んで連れて行ってもらった。お目当ては、大川ひとみさんがデザイナーの「MILK」。というのも、MILKはサイズが異常に小さく(アメリカンサイズの0を通リこしてPetitくらい)、小学生体形の私にも着ることができたのです。初めて買ってもらったセーターは、忘れもしない、茶色の丸首、左下から胸にかけて、20cmほどのイギリスの兵隊さんが編み込まれていて、可愛いのなんの! どれだけそのセーターを愛したかは忘れられない。
 実は、そのセーターを、制服のブラウスの上に着て、親に隠れてウソをつき、学校の帰りにエルトンジョンのコンサートに行ったんです。ちょうど中学2年の冬だった。恐れ多くも、ドラマーのナイジェル・オルソンと一緒に撮ってもらった写真が今でも残っている。ブラウスの襟が、どうみても制服の丸襟で、今見ると笑っちゃうけど、精いっぱいの変装だった。
 もう一つ死ぬほど好きだったのが、紺地に縁取りが赤、ポパイのガールフレンド・オリーブを編み込んだニットベスト。首がボートネックになっていて、それがまたお洒落だったの。とにかくMILK人気はすさまじく、同学年の子の中に、ミルクの商品を万引きして退学になった子がいたなあ。お金持ちの子だったのに、なんで…。スリルがたまらなかったのかな。
 その後夢中になったブランドが「ピエロ」。原宿マーケットの地下にあり、そこは、「赤富士」(一斉を風靡したリメイクビンテージジーンズのお店)などがあった、一大ファッションスポット。2000年頃の109という感じかな。なかでもピエロは飛び過ぎていない、ややポップな可愛いらしさが大好きだった。可愛いといってもヴィヨロン(ふりふりひらひらのフォークロアというのかな、これまた、その時代の原宿を代表する店)とは違った、ややアメリカンなテイストが好みだった。買った中で、最も好きだったのが、お化けのキャラクター“キャスパー”を描いたシャツ。ブルーのキュロットパンツに父のフィリピン土産のローヒールの紐靴を合わせていい感じのコーディネートで映画を見に行ったんだけど、靴擦れで大変な目にあったよ。そういえば。


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