#4コンパッショネートなシステム思考を子育てやなんやかんやで使う
「対話」に苦手意識を持っていた昔の自分
いやあ、対話って言われてもね……うーん。少し昔の自分は、よく分からないままに対話というものに苦手意識を持っていました。対話と聞くと、なぜか身構えてしまっていました。
なぜそう感じていたのか。突き詰めると、「どんな自分」で参加すべきかが分からなかったからだと見えてきました。
例えば、編集者やライターとして誰かと相対するときは、自分の役目がはっきりと分かっています。また、学校関連など自分の子どものつながりで誰かと会う場合、「親」という自分の役割がはっきりしているので、これも分かりやすい。
では、そうした役割の仮面を外して誰かと相対する機会はあるのか。考えてみると、家族や友達などと会うとき(しかし悲しいかな子育てが始まると友達と会う時間は減ります)以外は、何らかの仮面をつけっぱなしの時間が長いと気がつきました。
いったん仮面の存在に気づくことができると、外せるようになりました。すると、対話へのナゾの苦手意識はなくなりました。そして、そのナゾがすとんと整理される日が後からやって来ました。
「その場への姿勢」のあるある4タイプ
コンパッショネート・システムズの基礎ワークショップで、ファシリテーターのメッテ・ボル氏がこんな解説をしてくれて、ぼんやりとつかんでいた感覚がすとんと自分の中で整理されました。
「その場への姿勢」をよくある4タイプに分けて説明してくれたのです。
・Captive(やらなきゃいけないからここにいるけど本当はここにいたくない)
・Vacationer(非日常のバケーションに来たから楽しもう)
・Sophisticate(自らアクティブに関わるというよりは、ほかの人が正しいことを言ったり正しい行動をしたりしているかを確認している感じ。少し距離を置いて、例えば理論や知識などで武装して、ほかから攻撃されないように自分を守る姿勢がある)
・Explorer (開かれた心と頭で、旅がもたらすものがなにであれ、すべての瞬間を楽しむ)
仕事をしている場面を想像すると、CaptiveとSophisticateが混ざったような姿勢になったことのある人は少なくないかもしれません。
私自身は、職業人としての役目の仮面をつける時間が長かったために、「Sophisticate」に寄ってしまうクセがあったことに気づきました。だからこそ対話の場に苦手意識があったのでしょう。
ボル氏によると、最も学ぶことができる姿勢はExplorerだそう。
その場への姿勢は、自分自身に影響を与えるだけではなく、その場(Social field)に影響します。
例えば、新しいアイデアを自由に出すために会議が開かれた。でも、上司が堅苦しい態度だったことで、終始重苦しい雰囲気に支配されて残念な結果に終わってしまった。そんな体験をしたことのある人はいるかもしれません。逆もしかりです。
ワークショップでは、講義をしているボル氏自身が、Sophisticateはアカデミックに成功するために必要な戦略で、自分は人生の多くの時間をその姿勢で過ごしていたし、Sophisticateが結構得意だった、と面白おかしく笑顔で披露していました。おかげで、その場がさらに「いい場」に変わったと個人的に感じました。
親がExplorer の姿勢を持てると
さて、子どもと関わる場ではどうでしょう。CaptiveやSophisticateな姿勢でいると、その場にどんな影響があるでしょう。親のほうが立場が強い場合は、その場に与える影響は想像するより大きいかもしれません。
親がExplorer の姿勢を持てると、子育てを通して、親が学べることは増えるはず。親子のワクワクも増えそうです。面白くなるとさらに親はExplorerの姿勢を持てる……。そうした場を連続的に持つことが大切なんだなあ、と自戒を込めて感じています。
前回までに2つのツールを見ましたが、ツールは対話のための道具です。道具を使うのは、その場にいる人です。「その場にいる人」にはもちろん自分も含まれています。
(#5につづく)
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コンパッショネート・システムズ(Center for Systems Awareness)
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