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「脱北」は過去の話?高梁市の教員の意識の変化とウェルビーイング 。学校DXが進んできて起きたこと。

新年度になりました。
学校現場の春の風物詩といえるのが、「先生の異動」です。
お世話になった先生の中にも、高梁を離れる方がいました(さみしー涙)。

岡山県高梁(たかはし)市に移住してこの2年間、学校DX(GIGAスクール)を推進をしてきましたが、その結果(?)学校現場の先生方に起きている「ある変化」を記しておきたいと思います。

岡山の教育現場における「脱北」とは?

タイトルにもある「脱北」とは、岡山県の学校現場において、県南(岡山市・倉敷市・総社市など)エリア在住の先生が、高梁市をはじめとした県北・中山間地域に配属になり、その後、異動でまた県南(都市部)に戻ることを指します。

その前提として、「県南の総社市、倉敷市、岡山市などが、教育も進んでいるのに対して、県北中山間エリアは遅れている」、という認識があるかと思います。

新採用の先生で、高梁市の学校に配属になった先生が、ショックで泣いた、という、笑えないエピソードも聞いたことがあります(笑)。

ICT活用が劇的に進んだ高梁市

さて、この2年で高梁市の小中学校では、ICTの活用が劇的に進みました。活用度は岡山県内でもトップクラスです。
ちなみに高梁市は、元々は学校現場のICT活用は、かなり遅れていた自治体でした。
2021年のGIGAスクール構想の開始から半年ほどで、劇的にICT活用が進みました。日本でも上位5%には入ると思います。

単なるデジタル化ではなく、学校が変わり始めている。学校をもっとワクワク楽しい場所に。

単に「毎日タブレットを使っている」というだけでなく、先生たちや生徒を起点に、面白い取り組みが次々と生まれてきています。「地域と連携した学び」「探究的な学び」も、多くの学校で活発化しています。

他にもたくさんありますが、こうした学びが、上からの号令ではなく、現場の先生や生徒たちの企画や発信で生まれてきています。
単なるデジタル化ではなく、「学校DX(デジタルトランスフォーメーション=変革)」が起き始めているように感じるのです。

GIGAをきっかけに、学校のあり方を見直す。
学校をもっとワクワク楽しい場所にする。
そんな動き、そんな流れ、そんなうねりが起き始めているのです。

高梁の先生方の意識の変化

話を元に戻します。
今年の春の異動で、倉敷や総社など県南の小中学校に転勤になった先生方も多くいました。
ですが、「脱北(=県南の都市部の学校に戻れて嬉しい〜)」というような声は、聞くことがほぼなかったように思います。

GIGAの前のアナログに戻りたくない・・・

前述した通り、高梁市ではこの2年で飛躍的にICTの活用が進みました。
しかし、県南の学校では同じではありません。
岡山県に限らずですが、学校数も生徒数も多い都市部の自治体の方が、端末の整備や活用もスムーズに行っていないことが多いと聞きます。

なので、県南に異動する先生からは、脱北とは逆で、
「GIGAスクール開始前のアナログな学校環境に逆戻りすることを嘆く」
という声をかなり聞きました。
(「横山さん、倉敷にもICT支援に来てください〜涙」、と言ってくださる先生もいました。)

教員の負担も大きい大規模、大人数のクラス

また、ICT環境だけでなく、倉敷市や総社市の学校は、学校全体の生徒数やクラスの生徒数も、高梁市よりもかなり多いことが多いです。その点についても嘆いている先生もいました。(35人学級制がスタートしますが、高梁市の学校では10〜20数人の学級も多く、北欧やオランダなどの学校のような環境です。)

「人数が多い環境で、競争して揉まれた方がいい」

と考える方(保護者の方)も多いと思いますが、先生方は、

「きちんと目の届く範囲、丁寧に子どもたちと向き合える規模、手間をかけられる人数(小〜中規模)で教育活動をしたい」

と考える先生も多いように思います。

新しいことにも小回りが利き、フットワークの軽い高梁市の小中学校

また、学校組織としても、小回りが利く規模や新しいことにもフットワーク軽く取り組める規模感の学校で働きたい、という考えもあるように感じます。

子どもたちが地域のいろいろな活動にも参加

高梁市の場合は地域との連携・協力も多く、学校を中心とした地域全体がとてもアットホームな環境です。
居心地のよさを感じている先生も多いと思います(自分も感じます)。

学校DXが進み、地域と心通う協働が進む。その結果、高まる教員のウェルビーイング。

まとめると、高梁市の学校現場でこんなことが起きています。

  • ICT活用が飛躍的に進み、教員の負担が減った。

  • タブレット(iPad)の活用で、授業や学校活動がワクワク楽しいものに。

  • オンラインの活用で、小規模校・中山間地域の学校でも、外と繋がる機会が大幅に増えた。

  • 地域と連携した学び、探究的な学びも活発化してきた。

  • 学校のあり方自体の見直しも始まった。

  • 子どもだけでなく、先生も楽しくなってきた。

こんなかんじでしょうか。
その結果、「脱北」という県北・中山間を揶揄する言葉は過去のものになりつつあり、高梁市ではたらく教員の方々にも意識の変化が芽生え始めているように感じています。

「学校のはたらく環境がブラックだ」
「教員のなり手が減っている」
など、何かとネガティブな話題が多いですが、先生たちが新しいことに挑戦できる環境、心通うつながりを感じられる環境、先生たちもワクワクできる環境になることで、先生たちの意識にも変化が生まれている町もあるよ〜、と知ってもらえたら嬉しいです。

横山


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