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ノーベル文学賞候補を読む

 残念ながら語学力が無いので日本語訳しか読めないが、過去のオッズでノーベル文学賞候補に挙げられている作家の作品を読む活動を先月から始めた。

 この数年、日本でのノーベル文学賞のニュースとなると、「日本人が受賞するか否か」ばかりが話題になる。しかし、候補者としてどのような作家がいるかを踏まえ、その上で日本人の作家の受賞に可能性があるのか、といった分析がなされているわけではない。海外文学ファンとしてその現状にもどかしさを感じていた。せめて今回くらいはノーベル文学賞候補としてどんな作家がいてどんな作品を書いているのかを知ろうと思い立ったわけだ。

 これまでにシリア出身の詩人アドニスのインタビュー本、アルバニアの作家イスマイル・カダレの小説「夢宮殿」、多和田葉子の「献灯使」、ハピエル・マリアスの「白い心臓」を読んできた。10月のノーベル文学賞の本発表までには、マリーズ・コンデ、クギ・ワ・ジオンゴ、マリリン・ロビンソン、残雪、余華の5人の作品は読んでみたいと思っているが、なにせこちらはアマチュア文学ファン、忙しい本業を抱えている身だ。通勤電車内や昼休み等読書時間も限られているし、メンタル面の疲労度が高い難しい本の読書は決して楽なものではない。どこまで読めるか全く不透明。でも前2回の芥川賞予想イベントで候補者全作品を読んだときよりも充足感は高い。

 でも果たしてこの読書の果てに何があるのかはよくわからない。こんなご時世に悠長なことと自分でも呆れる面もある。一体どんな景色に出会えるのやら、怖いようなワクワクするような不思議な気持ちで揺れている。

読んでいただきありがとうございます。ここでは超短編小説、エッセイ、読書感想などいろいろ書いていく予定です。よろしくお願いします。