スライド5

人生の成功とは

「成功」とは何か

 「成功者になりたい」「成功者を見習え」
 よく聞く言葉ではあるが、成功者とはいったいどのような人を指すのだろうか。人生における成功とは、いったいどういう状況を言うのだろうか。

 一般的な認識として、お金持ちが成功者であると捉えられているかもしれない。一方で、周りから成功者だと呼ばれているお金持ちたちは、得てしてそれを理由に自分を成功者であるとは認識していないようである。あるいはこの認識差こそが、まさしく成功者か否かを線引きする基準であるかもしれないが、手品家社長とりっと氏は、自分のやりたいことをして生きている人、自分のやりたいことを人生で達成できた人が人生の成功者と呼べるのだろうと思い、自らもそれを目指しているという。
 自分のやりたいことをして生きるためには、お金も必要であれば人脈も必要になる。だから、やりたいことのためにお金も稼がなければならない、というのが成功者の理屈であるかもしれない。

 お金を稼ぐためにやりたいことを我慢する、という人は多いことだろう。仕事とはそういうものである、と認識している人が多いであろうことは、もしかすると日本という国が歩んできた歴史に端を発しているのかもしれない。その考え方はひとつの美学であるとも言えるだろうし、何も否定されることではない。
 しかし、極論として、「やりたいことはできたが、お金がない」という状況と、「お金はたくさんあるが、やりたいことは何もできなかった」という状況で、死ぬときになって後悔するのは後者であるように、とりっと氏には思われた。
 お金というのは、やりたいことを実現するために存在するものであり、お金のために人生があるわけではない、というのが、とりっと氏の持論である。

 とりっと氏は、プロマジシャンを目指す人と面談をすることがよくあるが、目指すと言いつつも足踏みしている姿を見ると「足踏みする暇があるなら、今なればいいのに」と思うという。
 やりたいことがある、ビジョンがあるというだけで、幸せなことだと、とりっと氏は思う。多くの人が、何をやりたいかがわからずに人生を終えている中で、「プロマジシャンになりたい」という明確なビジョンが見えているにもかかわらず、二の足を踏む必要がどこにある、と思うのである。
 そういった面談者の多くは「いや、でも、マジックで食べていける自信がないし、生活も考えないといけないし、収入的なリスクが怖いんです」と言うのだが、とりっと氏はそれらの言葉にまるで賛同できずにいる。リスクというのであれば、やりたいことをやらずに人生を終えてしまうリスクのほうが、遥かに大きなリスクであるように思えるからだ。100万円や200万円の損失も、あるいは1億円や2億円の損失であっても、1度きりの人生を棒に振るという損失にはまるで及ばない些細なことであると思うからである。

 人生の損失という大きなリスクを負うよりは、やりたいことに対して素直に飛び込んだほうが、幸せな結末への道筋に近いことだろう。はじめから上手くいくとは限らないが、上手くいかない中で試行錯誤し、チャレンジして成長して、最終的には食べていくぐらいのことは簡単にできるものであるのだ。やればできることである、ととりっと氏は言う。やるという決断をするただ1つのステップによって、成功への道は繋がっているのである。

 逆にその決断をしなかったがゆえに、「仕事はしてお金は貯まったけど、やりたい仕事というわけでもないし、何のために僕はこの仕事をしているのだろう。マジシャンになりたいという夢を諦めて手に入れたこの人生は、いったいどれほどの価値があるのだろう」と30代や40代になって後悔してしまうとすれば、とても不幸なことだと言えるだろう。
 こういった後悔は、やりたいことがない人よりも、やりたいことがあった人のほうが大きいだろうし、実現性のない夢よりも、実現可能であった夢を諦めた人のほうが大きいことだろう。やりたいことがある人、実現の見込みがある人は、それを叶えるチャンスが広がっていると同時に、やらずに後悔するという大きなリスクもまた内在させていることになるだろう。


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