はじめに
このテキストは、原作:前田真孝、文章:廣木涼によって作成されている。まずはこの両名の紹介をさせていただくことにする。
原作の前田真孝は、2018年時点で15店舗のチェーン展開に成功しているマジックバー、手品家の社長である。とりっと、という名で知られるマジシャンでもあったが、現在はパフォーマーとしてよりも、経営者としての活動のほうが多い。
前田は高知大学に在学中、奇術部を創立し、そこで後輩たちにマジックの技術や演じ方を教え始めて以降、様々なマジック教育を行ってきた。大学卒業後は、高知中央高校に奇術部の顧問として招待されてマジックを教え、そこから何人ものプロマジシャンを輩出させている。マジックバー手品家を経営しては、従業員にマジックを指導してマジシャンとして育て、全国15店舗をチェーン展開するほどになっているが、ここで働くマジシャンたちの教育を行ったのも、言うまでもなく前田である。
このように、初心者にマジックのレクチャーを行うことが多かった前田であるが、しかし、マジックのやり方を教えることと、マジックの見せ方を教えることはまた別物であり、さらに、マジシャンになる方法や仕事を取る方法はまた全く別の要素に起因するものだと気付くことになる。
本書は、マジシャンになり、仕事を取ることができるようになるためのテキストである。前田の、これまでのマジック教育の経験から導き出された方法や考え方をこのテキストでは紹介する。
一方、筆を執っている廣木涼は、公益社団法人・日本奇術協会のマジシャンでもあり、推理作家でもある。サラリーマンを経由した脱サラ系マジシャンである廣木は、世界8ヶ国、国内8都市、都内80店舗の飲食店で出演を果たし、今も執筆業とマジシャン業とを掛け持ちしているが、数少ない筆の執れるマジシャンとして、その責を全うすべく、このテキスト作成を手掛けている。
より詳細な紹介は、こちらの記事(マジシャン必見!とりっと式経営術:第一章)を参照していただくとよいだろう。
さて、先述したとおり、本書はマジシャンになり、仕事を取ることができるようになる方法を、マジシャンを目指す初心者に伝えるためのテキストである。プロマジシャンになるための入門書と思っていただけるとよいだろう。
このようなテキストが作成されることになった理由は、原作者・前田の理念にある。前田は、より多くのマジシャンの活動の場を作りたいと思い、手品家というマジックバーを全国に展開している最中である。前田がそう考えたのも、認知症予防や引きこもり対策など、現代社会の抱える様々な悩みをマジックという手段によって解決できるのではないか、という発想があってのことであるのだが、しかし、実際にそういった解決策を提案するにあたって、圧倒的にマジシャンというリソースが足りない現状がある。ではマジシャンを増やさなければならず、マジシャンを増やすためには学校を作って教育しなければならないが、しかし、学校を出たマジシャンの働き場も整っていないのが今の状況である。そこで、前田は、全国に手品家を展開し、まずは全国のマジシャンの職場を確保しようと考えるようになった。
このような考えによって手品家は展開されており、マジシャンのための職場は今現在も、増え続けている。つまり、マジシャンを目指す人々は、やりたい仕事をして食べていける世の中になってきているのである。
もしこれを読むあなたが、「プロマジシャンになる」という夢を叶えたならば、それは前田の「マジックで社会に貢献したい」という夢の一部を叶えたことでもある。前田は、その自分の夢を叶えるために、このようなテキストの作成を手掛け、仲間となってくれるマジシャンを作りたい、育てたいと願っているのである。
ひとりでも多くの人が、このテキストを見てプロマジシャンになってくれることを、そして経営的な成功を掴めることを両作者ともに願っている。
また、本書は、まだマジシャンになっていない人のために書かれており、一応はマジシャンになったばかりの人にも対応してはいるが、あなたがすでにマジシャンとして活動する状況であるならば、本書よりも、別書「マジシャン必見!とりっと式経営術」をお奨めする。
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