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はじめに 1.プロマジシャンになるには ・プロ、セミプロ、アマチュア ・業界内におけるプロ ・プロマジシャンと言う覚悟 2.食べていくとは ・サラリーマンとの比較 ・ライフスタイル ・手段と目的 3.お金の使い方 ・貯金 ・自己投資 ・投資と浪費 4.仕事の種類 ・現場 ・経歴 ・コロナ後 5.仕事の取り方 ・集客 ・料金 ・スペシャリストとオールラウンダー 6.芸術と芸能 ・芸術寄りと芸能寄り ・趣味と仕事 ・表現と商売 7.クロースアップとショー
本書について:廣木涼 本書『プロマジシャンになる覚悟』に目を向けていただき、ありがとうございます。 ヒーローウッド出版では、これまでに『ストリートマジックハンドブック』『テーブルホッピング入門』『大道芸スタートアップガイド』『マジシャン必見!とりっと式経営術』など、マジシャンが仕事をするための情報書、ノウハウ書を制作してまいりました。 そして今回は、"マジシャンが憧れるマジシャン"として名高い、聖寿(せいじゅ)さんが、書籍化を手掛けます。 聖寿さんは、ブライダルの
プロ、セミプロ、アマチュア「どうすればプロマジシャンになれるんですか?」 素朴な疑問として、一般のお客様からよく聞かれる質問です。 またプロを目指す若いマジシャンの子たちからも同じ質問をされます。
サラリーマンとの比較「プロマジシャンって食べていけるの?」 これもよく聞かれる質問の一つです。 そもそも"食べていく"とは一体どういうことなのでしょう?
貯金 お金が目的ではないとは言いましたが、お金がとても大事なものであることに変わりはありません。 同様に貯金も絶対必要ではありませんが、金銭的、精神的余裕があると、次の一手を攻めに転じることができます。 貯金=収入-支出。 貯金を増やす方法はシンプルに二つ、収入を増やすか?支出を減らすか?です。 最初から収入upを狙うのは難しいので、まずは出て行くお金を減らしましょう。
現場 プロマジシャンになってどうなりたいのか?は人によって違います。 お金もちになりたい、有名人になりたい、コンテストで優勝したい、全国各地でショーがしたい、ラスベガスでショーがしたい、自分のお店を持ちたい、大道芸人になりたい、死ぬまでアーティストでいたいなど、さまざまでしょう。 では具体的にマジックの仕事というのは、どんなものがあるのか? ここでは、目の前に一般のお客様がいる状態の仕事、いわゆる「現場」についてお話を致します。
集客 どうすればマジックの仕事は増えるのでしょうか? 他の芸能と同様にマジックにおいても、ファンを獲得することはとても大事です。 お客様を集める方法は三つ。 ①自分で集める ②誰かに集めてもらう ③もともと集まっているところに行く ワンマンショーは①、マジックバーやテーマパークに出演するのは②、イベント会社を挟む営業も②、企業パーティーやホームパーティーなど直の営業は③、結婚式場と直で契約するのは②③、大道芸は①③などです。
芸術寄りと芸能寄り スペシャリストに多いのは職人肌でアート思考の人、逆にオールラウンダーに多いのはウケ重視でエンタメ思考の人です。 完全に別れているわけではありませんが、どちらかに寄っていく傾向があります。 マジックは芸術か?というのもよく議論されるテーマです。 ①芸術(アート)は、自己表現を追求するもの。内側から発せられるもの。 ②芸能(エンターテイメント)は、自分の外側からの要求に応えるもの。相手を楽しませるもの。 とわけることができます。
商売としてのマジック 何が売れるかわからないアート作品を創るよりも、既定路線のエンタメ商品を売る方が、手堅く稼ぐことができます。 なぜなら商売としてのマジックは、ある程度売れ筋がすでにわかっているからです。 とっつきやすいのは、クロースアップでしょう。 初期費用が安く、練習も実戦も気軽に始められます。 一方ショーは、道具代がかかります。 さらに不特定多数の観客をコントロールするため、「場の支配力」という高度な技術が必要になります。 ステージショー、クロースアップ
良いマジック よくSNS等で、少し名のあるマジシャンが、 「若いうちは技法の練習だけすればいい。“良いマジック“を追求してたら、お金はあとからついてくる」 というような発言をしているのを見かけます。 たしかに「商売」をあまり意識せずとも、「自己表現」のみで成功するマジシャンはいます。 しかしそれはレアケースで、失敗した人の声というのはあまり表に出てきません。 たまたま運良く生き残った例だけを真似しても、同じようにいくとは限らないでしょう。
プロとして長生きするには くれぐれも誤解がないように言っておきたいのは、稼げないマジシャン=悪いマジシャンではないということです。 たくさんのお金を稼げなくても、独創性やアート性にすぐれた作品を世に残せば、良いマジシャンになることができるでしょう。 それこそがプロになる目的であり、人生の幸せだという価値観を否定する気は一切ありません。 しかし良いマジシャンであることが、プロとして長生きすることに繋がるかどうかはわかりません。 実際問題、業界内では高い評価を得ながらも、
本物とフィクション 僕自身は芸術家に憧れを抱きつつも、商売に重きを置いてきました。 なので僕のマジックは、芸術「作品」ではなく、あくまで芸術風を狙った「商品」です。 おそらくマジシャンから見れば、ベタな鉄板ネタがほとんどでしょう。 超絶技巧をサラッと魅せるのではなく、大して凄くない技をいかに凄そうに魅せるかというのが僕の得意分野です。
成功と失敗「あれこれ考え過ぎると動けなくなるから、まずは飛び込んでみよう」 とよく言います。 しかし多くの人は、その最初の一歩が一番ハードルが高いと感じるのではないでしょうか。 「失敗を恐れるな」 と口で言うのは簡単ですが、実際に行動に移すのはとても大変なことです。 「やらないで後悔するより、やって後悔しよう」 という言葉もありますが、誰だって本当は失敗や後悔をしたくないはずです。
著者おわりに もしプロになるかを迷ってる人がいたら、 「就活を辞めろ」 「会社員を辞めろ」 などと言うつもりは全くありません。 「マジシャン最高!なんでやらないの?!」 とマウントを取る気も一切ありません。 プロになる覚悟も、サラリーマンをやる覚悟も、セミプロでやる覚悟も、パフォーマー以外のマジックの仕事を選ぶ覚悟も、どれも同じくらい勇気ある決断です。 大切なのは、自分の意志で選ぶことです。 自分で選んだ自覚がないと、失敗を誰かや環境のせいにしてしまいます。 それを