![夏](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/13411578/rectangle_large_type_2_a418afae7936bd91c48da18feb61cdaf.jpeg?width=1200)
高橋みなみの卒業スピーチに思うこと
高橋みなみ。AKB48が隆盛を誇った2012年から3年もの間グループ総監督を務めたアイドルである。
彼女の卒業スピーチには、こんな一節がある。
「AKBにいたら、どう頑張ったら良いか分からなくなることもあると思う。でも、未来は今なんです。今を頑張れないと未来はないということ。頑張り続けることが難しいことはすごくわかっている。でも、頑張らないと始まらないということを忘れないでいてほしい。」
彼女の努力や、その当時抱えた悩みは彼女の著書に譲るとして、僕たちはこの言葉をどう捉えるべきだろうか。
小さいながら組織をまとめる立場にある自分が、「リーダー」の文脈で思うことを書き並べたいと思う。
報われないということ
一番初めに、彼女の言葉の「どう頑張ったら良いか分からなくなることもあると思う」という部分に、大きな感動を覚えた。
グループ全体を見る彼女だから出てくる言葉だ。
自分が努力をするだけではなく、メンバーの努力ゆえの苦しみを近くで見ていることが分かる。
報われないメンバーがいるということを、リーダーが認識し受け入れるのは難しいことだ。
AKBでは努力の苦しさゆえグループを去ったメンバーもいるだろう。
報われないと、そう感じて歩みを止めることを選択したメンバーもいるはずだ。
リーダーとしてもどかしい思いだったに違いない。
自分が大好きなグループ。大好きな仲間。
その大好きな居場所”AKB48”を求め、仲間になったメンバーが、苦しさから辞めていく。
リーダーとして、どれほどの苦しみだっただろう。
中で苦しむメンバーも、見るに堪えないに違いない。
彼女たちは努力をしているのだ。必死に、毎日、耐え難きを耐え、少しでも日の目を見ることを夢見て。
それでも報われず、涙を流している。
どれほどの辛さだろうか。計り知れない物がある。
同情と愛の違い
それでも、その状況にあっても彼女は「未来は今なんです。頑張り続けるのが難しいことはわかってる。でも、今を頑張れなければ未来は無い」と、そう述べたのだ。
「こんなに頑張っているのに、まだ頑張れというのか」
メンバーにそう思われても、仕方なかったと思う。
それでも、彼女は「頑張れ」と、そう言った。
同情するのは簡単だ。
辛いよね。大変だよね。休んでもいいんだよ。頑張ったね。
彼女はメンバーに、成長してほしかったのだと思う。
同情して彼女たちが留まることを望むのではなく、本心から彼女たちの成長を願っていたのだと、そう思う。
だからこそ、「未来は今だ」とそう発言したのだ。
努力する時は未来でも過去でもなく、今なのだ。
頑張っている人が報われてほしい、と切に訴える彼女の姿は同情のそれではない。
辛い人がいるから、だから応援してあげてほしいなどという生易しいものではないのだ。
これは、紛れもない「愛」だと思う。
リーダーの役割
今、この社会でどれほどの人が「報われない」と感じているだろうか。
これだけ頑張っているのに、あとどれほど頑張れば結果が出るのだろうか。自分は変わるのだろうか。
必死に生きているのに、報われない。
なぜ、そう思うのだろう。
僕は、リーダーの存在が大きいのだと思う。
高橋みなみを見てほしい。
今このとき、メンバーが報われてほしいと心から願うリーダーがいる。
自分たちの努力は見てもらえているのだと、そう感じさせるリーダーがいる。
そして、そのリーダーが「後少し頑張れ」と、そう背中を押してくれているのだ。
どれだけ頑張っても報われないかもしれないけど、それでも報われてほしいと願い奮闘するリーダーがいる。
メンバーにとって、これ以上の幸せがあるだろうか。
この一言だけでも、身を賭して努力する価値がある。
この社会、報われないことは当然だ。
それでも、大好きな仲間のため、目指す目標のために奮闘することほど尊いことはないと思う。
リーダーのすべきことは、メンバーの努力をしっかりと見て理解すること。
そして、どんなときでも彼らの成長を願い、手助けすることだと思う。
同じ船に乗った仲間を絶対に沈ませないために、同情ではなく「愛」を与える事が大事なのだ。
自分がどう思われるか、ではなく、彼らにどうなって欲しいかを真に考え続けられる人こそが、本物のリーダーなのだと思う。