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AIで授業を変革!小学校国語の「聞く・話す」単元で、話し合いをテキスト化し可視化した話


AIによる音声データのテキスト化・分析は授業づくりにいかせるのでは

皆さんお久しぶりです。小学校で働くささです。
夏休みはもっぱら教職員向けの研修に力を注いでいました。

研修内容を授業づくりに転用できるのでは?と思い、さっそく夏休み明けに実践を行ったので、紹介したいと思います。

「AIを使って授業づくりに何か活かせないかな」というところを模索している、その1つの提案だと思って読んでいただけると幸いです。

今回テーマは「音声のテキスト化。テキスト化したしたものを分析してもらう」の2点になります。 どうぞ読んでいただき 授業づくりのヒントにしてもらえると嬉しいです。

実践のきっかけ:話し合い学習の課題

私たち教師は、日々の授業でいろんな工夫をしています。しかし、グループごとに行う話合い学習では、こんな悩みがあります。

  1. 複数のグループの会話を同時に把握するのが難しい

  2. 子どもたち自身が自分たちの話し合いを振り返る機会が少ない

  3. 話す・聞くスキルの向上につながる具体的なフィードバックが足りない

これらの課題を何とかできないかなって考え、「AIの力を借りたら、もっと良い授業ができるんじゃないか」っていうアイデアが浮かびました。

実践の概要:5年生国語での挑戦

今回チャレンジしたのは、小学校5年生の国語の授業です。
単元は「どちらを選びますか 」。2時間計画になります。

(話・聞②)
◎思考に関わる語句の量を増し、話や文章の中で使うことができる。(知・技(1)オ) ◎互いの立場や意図を明確にしながら計画的に話し合い、考えを広げたりまとめたりすることができる。(思・判・表 A(1)オ)


テーマは「海へ行くのか山へ行くのか、おすすめを担任の先生に紹介しよう」というもの。

おおまかな学習活動の展開
・海を薦めるチーム(二人)と、山を薦めるチーム(二人)に分かれて、チームごとに薦める理由を考えてノートに書き出す。

・その後、話合いを行う。

・それぞれのチームが意見を言った後、質疑応答をして、互いの考えの違いをはっきりさせる。

・各チームは、質疑応答を踏まえて考えを整理し、改めて意見を述べる。 ・先生役は、説得力があったチームを判定する。


子どもたちをいくつかの小グループに分けて話し合いをしましたが、ここがポイント!

その様子を録音して、後でAIの力を借りてテキスト化・分析することにしました。

AI音声認識アプリCLOVA Noteの威力

実践では、こんな手順でClova Noteを活用しました。

  1. 各グループにタブレットを配って、話し合いを録音(勤務校ではロイロノートを使用)

  2. 録音データをCLOVA Noteというアプリで読み込んで、テキスト化

  3. テキスト化したデータをテキストファイルに書き出し

  4. そのファイルをロイロノートで子どもたちに共有


アプリの紹介は以下のリンクから
https://clovanote.line.me/


最大の特徴は、グループディスカッションの録音を発言者ごとに分類し、テキスト化する能力です。これにより、誰がどんな発言をしたのか、話し合いの流れがどう展開されたのかを視覚的に把握できるようになりました。

音声データを聞きながらテキストを確認できる!しかも発話者ごとにアイコンが変わるので話し合いが視覚的に見える



確かに、音声認識の精度は100%ではありません。しかし、話し合いの全体的な構造や主要な論点を理解するには十分な精度があります。この技術を活用することで、教室内の複数のグループで同時進行している議論を、まるでその場にいるかのように「聞く」ことができるようになりました。これは、教師にとって非常に有益な機能なのです。

テキスト化したデータを様々なフォーマットでダウンロードできる。
今回はtxtファイルでダウンロード


テキストデータ(時間記録は非表示も可能)

AIの力を借りて話し合いの整理と分析

テキスト化したデータをさらに活用するため、AIの力を借りました。今回はClaude 3.5というAIを使って、次のような分析を行いました:

  1. 山派と海派それぞれの意見を整理

  2. 各意見のメリット・デメリットを表にまとめる

  3. 話し合いの流れや論点を可視化

AIが整理したデータを子どもたちに見せると、「こんな意見が出ていたんだ」「この理由は説得力があるな」といった気づきがあったようです。

表で出力した各チームの発言をロイロノートで配布することで多くの気づきや改善点が生まれる

教師も子どもも成長!

この実践を通じて、以下のような成果が得られました:

  1. 教師の評価が容易になった

    • 複数のグループの話し合いを同時に把握できるようになった。

    • 個々の生徒の発言を詳細に分析できるようになり、適切な評価や指導につながった。

  2. 子どもたちの振り返りが深化した

    • 自分たちの話し合いを客観的に見られるようになった。

    • 良い点や改善点を具体的に特定できるようになった。

  3. 話す・聞くスキルが向上した

    • 次の話し合いでは、前回の反省を活かした発言が増えた。

    • お互いの意見を尊重しながら、議論を深められるようになった。

AIを活用した授業改革の可能性

  • この実践には次のような課題がありました。

    • テキスト化と分析に時間がかかり、即時フィードバックが難しい

    • プライバシー保護とデータ管理のルール作りが必要

これらの課題を克服することで、AIを活用した個別最適化学習や効果的な指導が可能になります。
皆さんの学校でもAIを活用した授業に挑戦してみてください。新しい技術の可能性を探り、教育の質を高めていきましょう。皆さんの実践例や意見をぜひ共有してください。教師が協力して、より良い教育の未来を築いていけると信じています。

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