新人所信表明の友人のお手本。そして彼はトリリンガルになった
大学入学しての初日、ぼくは嫉妬した。
時刻はホームルームの時間。クラス内での自己紹介の時。大学に入ってまでもクラスがあるというのは驚きだったが、管理に学生のエンゲージメントを高め、先生方の負担を軽くするためだろう。
当時のぼくは、まったくの世間知らずにいた。確か「3年生になるころには、アメリカの大学に転校したいです!」とうそぶいた。その時はその時でうそではないつもりでいたが、良く調べもせず、準備も行動もしていなかったから、俗にいう意識(だけ)高い系であった。
だが、反応は悪くない。仮にも国際総合学類だから、そういうやつが1人いても不思議ではない。ただ担当の先生は「お前、本気なのか?」と苦笑いと戸惑いの混ざった表情だったと思う。それでもその時は、その宣言だけで悦に入っていた。まったくもって痛いヤツである。
その後、後に親しくなる未来友人Dくんが所信を表明した。
「誰よりも恥をかきたいです。」
聞いた瞬間自分が恥ずかしくなった。つい数分前まで“空疎な有言”だけで満足していた自分をぶん殴りたかった。
彼は現在英語とベトナム語のトリリンガルである。1年生の時に旅行で訪れたベトナムに心酔し、当時人気急上昇であったダナンで長期のインターンをし、帰国した後もアセナビで働き、社会人となった今でも暇を見つけてはベトナムを訪れている。つい先日も地元の新聞Tuổi Trẻ紙の「若者のライフスタイル」コーナーで取り上げられたようである。記事ではどうやら中途半端な彼のベトナム語をいじられているようである。
彼は今でも恥をかいて、いな、挑戦をし続けている。
そんな彼と大学初日に知り合えて本当に良かった。
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