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低い目標こそ、自分を変える最強の武器になる。
以前、私は「頑張る生き方は長続きしない」という記事を書きました。
その理由は簡単に説明すると、以下のようなループに陥るからです。
頑張る
→疲れるから休む
→焦りが出る
→さらに頑張る
→より疲れて休みが増える
→さらに焦る
→焦りで空回りして頑張れなくなる
→詰む!
このように、自分のキャパシティを超えて頑張ろうとすると、必ずどこかで破綻します。
キャパオーバーの頑張りは、筋トレ初心者がいきなりベンチプレス100kgを持ち上げようとするようなもの。
「今の自分には無理!」という事は明確なのに、それを無視するとケガをします。
なぜ、高い目標が挫折を生むのか?
自分が頑張りすぎるタイプかをチェックする簡単な質問が以下です。
「目標が達成できなかった時、そこから目標を上げる?下げる?」
挫折の後により高い目標を掲げがちな人は、要注意です。
私自身も以前は思うように目標達成できなかった時は「ぬるま湯のような目標だから気合が入らないんだ!」と考え、より高い目標を掲げるタイプでした。
しかし、これは 自己啓発の罠 だったと今は思います。
自己啓発の罠とは?
成功者が語る努力論を鵜呑みにすると、ほとんどの人が冒頭の負のループにハマります。
なぜか?
第一に、成功者はメンタルや体力がモンスター級であることが多いから。
彼らと同じやり方は、一時的なやる気だけで真似できるものではありません。
第二に、成功者は早い段階からレースに参加しているから。
・イチローは、小学生の頃から父親と毎日バッティングセンターに通う習慣を確立していた。
・プロゲーマーの梅原大吾さんは、小学2年生の頃には「人生このままじゃいけない」という感覚を覚え、小学4年生から自分が熱中できるゲームで誰にも負けないために努力を続けた。
・イーロンマスクは9歳の頃に1日10時間読書を習慣化し、12歳の頃にはコンピューターゲームを自作して販売していた。
私は伝記が好きで様々読むのですが、驚くような結果を残している人は大抵、人生の早い段階から努力の積み上げを開始しています。
よって、僕たちには苦行に感じるような努力も、彼らにとっては当たり前の習慣なのです。
人生の早い段階から結果につながる行為を習慣化し、その習慣に改良を重ね続けた人が成功します。私たちがその人を知るのは成功して認知度が上がった後です。
大半の自己啓発本は、成功者が試行錯誤の末にたどり着いた習慣の最先端にしか焦点を当てません。
その結果、
「よし!1日10時間勉強すれば合格するんだな!俺もやるぞ!」
と、勉強習慣のない人がいきなり高いハードルを自分に課すことになり、結果つぶれてしまう。
ではどうすれば、この自己啓発の罠を避けられるでしょうか?
目標は、バカバカしいほどに小さくせよ!
前述の通り若い頃の私は、「やるからにはとことんやらなきゃ意味なし!」という考え方でした。
目標は常に高いところに置き、達成できなければ自分を叱責し、さらに高い目標を掲げる。
頑張ることの負のループに陥り、燃え尽きていつの間にか目標自体を忘れ去る…
その結果、 絶え間なき自己批判と完璧主義がこびりついてしまったと感じています。
同じ過ちを何度も繰り返してようやく得た教訓。
それは、ご立派な目標は大抵、お粗末な結果にしか繋がらないという事でした。
この問題意識を抱えながら様々なインプットを繰り返した結果、今一番しっくりきているのが「目標はバカバカしいほど小さくする事」です。
バカバカしいほど小さいってどのくらい?
小さ過ぎて「え?こんなのやる意味あるの?」というレベルにして下さい。
・運動なら、腕立て伏せ1回出来たらOK。
・勉強なら、テキスト1ページを読めばOK。
・営業なら、お客様と1回コンタクトを取ればOK。
・ダイエットなら、食前に野菜をひとくち食べればOK。
・歌の練習なら、1小節歌えばOK。
上記は実際に私が最初に設定した習慣です。
このような笑ってしまうくらい小さな習慣から始めると、挫折の確率が大きく下がります。
ポイントはこの目標は最低ラインであり、気分が乗ったらもっとやってもいいということ。
あくまで「今日は1回もできなかったな…」を防ぐのが目的です。
イメージとしては、夜寝る前にベッドの中で、
「あ!今日あの習慣やってないや!今やろう!」
で、できるくらいに小さくして下さい。
これがなぜ自分を変える最強の武器になるのか?簡単に説明します。
脳は変化することが大嫌い
脳は変化が嫌いです。
普段と違うことをするのは、エネルギーを消耗します。
だから、大胆にいつもと違う行動をすると脳は、
「どしたん?話聞こか?…うーん、俺は前の君の方が君らしくて好きだな」
と、なんとかいつもの習慣に戻そうと黒髪マッシュ黒マスク姿で説得にかかってきます。
トー横界隈から脱出したいのであれば、まずはカバンに沢山つけていたキーホルダーを一個だけ外す程度の小さな変化からスタートしなければいけません。
焦りの問題とどう向き合うか?
でもここまでは、割とどこでも聞く話ですよね?
「そんなの分かってるって!でもそんな小さな習慣じゃ、いくら続けてたって成功できないじゃん!」
そう思ってた時期が僕にもありました。
要するに、小さ過ぎて焦りが出る問題です。
これの対処法はズバリ、「結果ではなく、変化を目的にする!」です。
結果にフォーカスすると、日々が辛くなる
頑張るって要するに、結果にコミットすることです。
よく、「計画は得たい結果から逆算して立てなさい!」というアドバイスを目にします。
これ、確かに一見理にかなっていますが、ここには「その計画に耐えうる自分かどうか?」という視点がまるっきり抜け落ちてます。
悩んでいる人の9割(いや10割!)は、得たい結果ベースの計画と、自分の力量とのギャップに苦しんでいます。
そしてもう1つ大事なポイントは、結果は完全にはコントロール出来ないという点です。
自分の力量に合っていない目標で、なおかつ行動と結果は必ず比例しないという状況は、とてつもない焦りを生み出します。
そんな状況じゃ、「小さな習慣なんて言ってられない!早く成果を出せる行動をたくさん取らなきゃ!」という気持ちになるのも無理はありません。
変化を目的にすれば、日々が楽しくなる
一方で、自分の日々の行動は完全にコントロールが可能です。
特にバカバカしいくらい小さな目標は、やる気に頼らなくても毎日達成できます。
そして、最初こそ「こんなんでいいのか…?」という疑問が何度も浮かんできますが、1週間もすると毎日やるべき習慣を確実にこなしている自分に自信が付いてきます。
想像してみて下さい。
今まで続かなかった習慣が1週間も続いたら…?
「もっとやりたい!」という気持ちが自然に生じてきませんか?
私はめちゃくちゃ生じました。
だから、最低ラインは腕立て1回、テキスト1ページだったのに、1週間後には少しずつその量が増えていき、さらに自信が付いてもっと出来そう!という好循環に入りました。
今頑張ることに疲れている人。
焦りで空回りしてずっと落ちつかない気分で過ごしている人。
まずは変化すること、成長することを目的にしませんか?
自分にとって大切な行動を継続できているという実感は、強力な武器になります。
長い人生、成果ばかり追求しても、消耗するだけです。
短距離走の走り方ばかり使っていると、どこかで身体を壊します。
日々小さな進捗の感覚を得られる喜びを感じながら、いつの間にか成果が少しずつ付いてくるような戦略も、大いにアリだと私は思います。