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詩「「」」

20240816

「」 彼は何も言わなかった
合鍵を忘れて家に入れなくなった
どうしたものかと考えていると
隣に老婆が立っていた

「」 彼は頷いて着いて行った
家の近くにある中華料理店に行った
キクラゲばかりがテーブルに並んだ
コリコリと食べ終えて店を出た

「」 彼は駅前の喫煙所に向かった
煙草に火を付けて吸い込むと咳が出た
ケロンと一つのキクラゲが飛んだ
スーツの男の背中にくっ付いた

「」 彼は何も言えなかった
合鍵をどこで落としたか思い出した
場所が場所なので取りに行くことを諦めた
隣に老婆が立っていた

「」 彼は首が取れるほど横に振った
恐ろしさにキクラゲがもう一つ出た
元からあるように老婆の額にくっ付いた
彼は走ってその場から逃げた

「」 彼は漫画喫茶の一室で発見された
老婆はそのことを知りケラケラと笑った
合鍵は持ち主が来ることを信じていた
キクラゲは数個逃げ出して街で暮らした

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