詩「最高の街」
20240616
駅前の巨大なモニターに
サッカーとそれ見る観客が映る
泣いたり笑ったり
どうかしている状態の人間を見る
なんの曲なのか
全くわからない
弾き語りが聞こえる
誰かの曲ということだけはわかる
蒸し暑さの中で茹で上がる脳が
あぶくを出してハジけている
あまり楽しくないのに笑いが込み上げてくる
全てが少しだけズレた見栄えの悪い最高の街
もうそろそろ
終電が通り過ぎて静かになる
おそらくこのギターの音色は
夜明けまで聞こえる
人だかりはつつかれた虫のように散り散りになる
そしてまた集まって また散り散りになる
(この世の全ての悩みを
吹っ飛ばすような笑い声が聞こえる)
ようやく知っている曲が聞こえてきたと思ったら
魂のないただのカラオケのようだった
個性のない観客たちと似ている
全てモニターに閉じ込めて爆破してしまいたい
同じ映像ばかり流れてきて目に入るので
巨大なモニターに囚われているのはこちらだと悟る
メモを取る右手のタコが爆弾に変化して
モニターの中から最高の街を見つめてハジけ飛ぶ
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