詩「浮雲」
20230720
躊躇う時にさえ地に足付かず
膨れる腹ごと大空に舞う
侘しさなどは片隅にやり
イーゼルには冗談ばかり立てかける
絵の具の色もわからないのに
筆はやたらに早くなる
洗濯物と一緒に羽ばたき
鳥どもには挨拶もしない
煙草の煙と親友になれば
副流煙でも十分飛べる
要らなくなったライターを投げ捨て
明日の天気を占っている
吐き捨てた台詞を思い返して
クスクス笑う 驚いたアイツの顔が
雲に似ている アイツは雲で
雨になったら 垂れてくるようなヤツ
酒の匂いに釣られても
針は飲み込まないしたたかさを持つ
テーブルがワッフルのようなあとを残す
濡れた頬もすぐに蒸発してサラサラとなる
ブツクサ言って 出鱈目にして
全てを蔑ろに 流れ着くままに
くすぐられたような表情で空を泳ぐ
アイツの顔を忘れてしまうまで
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