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詩「無色」

20230913

プレパラートの上
透明な掛け布団をかけ
レンズが近づいて来たら
目を閉じて睡魔を探る

睡魔の正体が何かを
覗き込む瞳が理解する時
初めて溢れ出す感触が
部屋の中を埋め尽くす

白い壁の狭い部屋で
小さき対象物と大きな観測者を
一つの人間としてまとめ
睡魔という名の毛布で包み込む

対象物となるときには
誰かに会いたくなるだろう
観測者となるときには
孤独を愛でて時を過ごすだろう

小さな点が交信しながら
すれ違ったり重なったりする
細胞の一つ一つに名前を付けて
それを題名とする詩を書き溜める

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