見出し画像

詩「街」

20230817

鏡が割れたら終わる世界が
月明かりに照らされている
青白い顔を撫で 冷たく暴かれ
心の居場所はもうわからない

睡魔に酒臭い息を吹きかけられる
アルコールなど遠ざけているのに
いつの間にか夜に酔っ払い
発酵したカーテンが風で揺れる

街はいつも騒がしい
他人事であることが不思議なくらいだ
よく聞こえる声が同じ人のものかも
わからないまま 街を眺める

街は心を隠してしまう
小さな箱に入れて鍵をかける
永遠に探し出せない場所に押し込み
ほくそ笑んで ただそこに在る

鏡が割れて終わった世界が
月明かりすら割ってしまう時
青白い顔で冷たくなる脳に触れる
心を探すことを諦めて 街に出かける

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?