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詩📓「ユクユクハユクコト」

20240617

花占いを 一日に 何百回もやっている 好き 嫌い それ以外 何もない それって実は 割と可哀想なこと そう 彼は可哀想だった 誰も信用していない 誰にも信用されていない それが心地良い そんな日もあるが 大抵は寂しい 寂しんぼは 刺身を買ってきて テーブルに直に並べ 醤油を一直線に引いて 吸い上げて 食べるくらい 寂しい 寂しんぼは コップを バーテンダーよりも 綺麗に 磨いて 丸い氷を入れて 下戸なので 甘ったるい紅茶を ウィスキーの代わりに 注いで 舐めるように 換気扇の下で 嗜むくらい 寂しい 好き? 嫌い? 今年は 今月は 今日は 今の瞬間は 好き 嫌い 好き 嫌い 花は ちぎられた瞬間に 花弁を再生させ 彼を困らせてやる そうすると 「寂しくないよね?」 そう呟いてみせる 花の優しさが 彼にとって とても鬱陶しくて 全てをぐちゃぐちゃにして 花のスープにしてしまう 花占いは もう出来ない 好き 嫌い それ以外しか なくなってしまう そうすると 実は もっと可哀想になる ゆくゆくは 自分で 何もかも 決められるように ゆく

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