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詩「奴の頭ん中」

20240611

寂しがりを極めた夜を
殺す朝にはわかるはずも無い
彼と夜の長い歴史を
多くの秘密を 独自の言語を

だから彼は朝が大嫌い
だから夜は彼を包むしかない
夜はまた生き返る 朝がまた夜を殺す
本当は同じ顔なのに それは彼に伝えてはいない

朝も夜も彼も 全ては奴の頭ん中
しかし昼だけは違う 奴を狙ってつけ回す
奴はとってもかくれんぼが得意で
幼稚園の頃 数を数える友人を置いて

そのまま 家にも帰らずに
川の底に住み着いてしまっている
ゆらゆらと上の方で揺れる
水に跳ね返る光を眺め

御伽話であるような
戯言と一緒で
人間だったことを忘れて
人間に憧れている

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