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詩「他人行儀」

20230921

行き場のない想いが
絡まっている場所で
一人だけなんにも
考えていないやつ

アイツが言っていた
合言葉を忘れて
今日も一人きりの
夜が過ぎてゆくだけ

あんなことがあった
こんなことがあった
語り合う人たちは
全員消えていった

想いは掠れてゆく
薄っぺらく伸びてゆく
それが似合う夜には
何もかもが苦くなる

合言葉を思い出し
一人が嫌になっても
あの場所には行かない
アイツには頼らない

アイツが言っていた
ためにならない言葉を
噛み締めて飲み干した
アルコールの色の空

そんなことがあった
どんなことがあった?
語り合う気力すら
死んでしまったのだろう

想いがなくなっても
想ったことは消えずに
ただアイツだけ平気な
顔をしているだろう

素晴らしき日々よ
美しき過去よ
まだ見えぬ未来よ
クソッタレの人生よ

みんな燃えてしまえ
その炎に手を当て
暖かさを感じたい
出来ることはそれくらい

くだらない日々よ
嘘だらけの過去よ
落ちるだけの未来よ
クソッタレの人々よ

みんな燃えてしまえ
その笑顔も灰になれ
風に流されてしまえ
望むことはそれくらい

アイツがこれを聞いたら
笑い飛ばすだろうか
それとも怒るだろうか
汚く罵るだろうか

アイツは初めから何も
想ってはいないから
耳に入ったとしても
想うことはないだろう

アイツみたいになりたい
何も想わずに過ごし
記憶にだけ顔を出し
笑っているようなヤツ

アイツみたいになりたい
いつも周りを見渡し
記憶にも残さない
すぐに消してしまうヤツ

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