見出し画像

詩「よくある夢」

20230710

見知らぬ場所で会う
懐かしい人の顔をした誰か
夢の中でなら上手く話が出来る
それは嬉しくも悲しくもある

思い出と向き合う時間が長過ぎて
起きた後にはほろ苦さが残る
それは舌に残るコーヒーのようで
眠気はカフェインか何かに吸い取られる

自分が何者か気付かされた瞬間から
誰かに期待することをやめてしまった
楽になった分だけ辛くなるのは
もう寄り添うこともないと知る時だ

懐かしい誰かに出逢わせてくれた
見知らぬ無邪気な子供たちは
夢の中で手を繋いで一緒に歩き
公園では楽しそうにはしゃいでいた

まだあの子たちは
消えていった夢の中にいるだろうか
この思いはすぐに薄れてゆくから
せめて一つ伝えて欲しい

話をしてくれてありがとう
それだけで良い もう忘れそうだ
夢の名残りが波にさらわれる砂のように
刻一刻と小さくなって

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?