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詩「馬鹿らしい夜」

20230716

足の裏を蚊に刺されたので
眠れそうにない夜が過ぎてゆく
明日の予定を数えてみたら
数えるものがないことに気が付く

耳元を飛んでいる何かを叩きつけて
鼓膜まで届いた衝撃が独り言を残す
その言葉を頼りに夜道を歩いていこう
足の裏の痒みを誤魔化すためだけに

ネオンに導かれた蛾のように
彼はフラフラとしている
ぶつかる人々には気付かれない
その方が都合が良い

足の裏にガラスの破片が刺さり
ハッとして月を見上げる
そこに住む奴は彼を睨んで
彼は物陰に隠れて怯える

家に帰ると全てが元通り
眠れそうにない夜がただ横たわり
明日の予定は埋まらないまま
空白だらけのカレンダーが輝く

煙草を吸う 彼の脳が麻痺する
死にたくなってみる 生きているのに
それだけ 過ぎてゆく時は彼を置き去る
再び痒くなってきた足の裏を爪が弾く

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