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詩「泳ぐ男」

20230912

油絵泳ぐ 男には
忘れた過去と 紙芝居
不確かなのは 今の場所
名画か何か 落書きか
キャンバスの肌 反射した
光を受けて 止めどなく
流れる涙 拭うため
潜水をして 溺れ死ぬ
油絵泳ぐ 夜のこと
彼の遺体の 絵画には
値段が付いて 売られたら
廃墟に飾る 老紳士
背泳ぎをして 生き返る
潜水をして 死に絶える
彼は生き死に 繰り返す
命の重さは 水滴だ
頭の中に 巣食う虫
一緒に食べた ピザの声
鳴り響いたら 肝試し
大学生を 脅すだけ
廃墟の中で 死に絶える
老紳士には 会釈した
寂しくなって 増殖し
絵画の夢を 撒き散らす
雪降る夜に 泳ぐだけ
桜を見つめ 泳ぐだけ
蝉の声聞き 泳ぐだけ
赤くなる葉と 泳ぐだけ

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