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詩「望む彼」

20230812

隔てた壁の向こう 見えないものを
空想しながら描き続ける
彼の瞳に映る全てのものが
絵となり文となり連なってゆく

ガラスの向こうでサイレンが鳴る
耳を塞いで音楽を聴く
彼は同じ日々を過ごしている
何年経ったのかは忘れてしまった

人々が彼を観て写真を撮る
彼の横顔を笑って通り過ぎる
絵と文が何かを示しているので
それを研究している学者もいる

生まれ変われるとしたら星になろう
ぶつかり 粉々に砕けてしまおう
広い宇宙のどこかであれば
向こうの景色も描かずに済むだろう

眠る時だけ解放される
彼の寝息を壁が聞いている
人々のいないガラスの向こうで
満点の星空がくるくると回る

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