詩「みかんのある部屋」
20230925
買ったはずないものの匂いがする
部屋の中を見渡すとみかんが一つある
カビなどは生えておらず皮もハリがある
これは何処からやって来たものだろう
(たまに飲むスムージーに入れるオレンジは
炬燵の上が似合うコイツとは違うし
きちんと冷蔵庫の中で眠っているよな)
ぼんやりと考えながら皮を剥いて中を見る
中には小さな人間が入っている
歳はあまり変わらない
驚いて口を半開きにしている
そっと皮を戻して転がっていた場所に戻す
それから帰ってくるたびに
みかんの様子を見ている
剥いてしまった皮の隙間から
こちらも様子を見られている
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