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詩「怪物」

20230819

君らが僕を見て逃げる夢を見た
その目に映る僕は怪物だった
わかっている 間違えてしまったこと
数えきれない罪が僕の上に立つ

それでも 追いかける僕の足が
疲れ果てても たとえ千切れても
君らの前に立てる時まで
何かを追いかける それが君らでなくても

君らが僕を見て笑いかけたとしても
すぐ微笑み返すことが出来ないかも知れない
わかっていた 僕が怪物になったこと
傷付けた分の傷が 模様になっている

それでも 僕に流れる血が
なくなってしまっても たとえ元からなくても
君らにかける言葉を探す
何かに語りかける それが君らでなくても

僕は寂しくて 愚かで ひとりぼっちだけど
満足しているし 強がりではなく幸せだ
君らが悲しくて 苦しくて ひとりぼっちの時
何か出来ないだろうか 出来ないとしても

それでも それでも僕は変わってゆく
恐ろしい怪物から 楽しい怪物に
人々を驚かせ 人々に笑われるけれど
君らの前で 踊れる怪物になる

それから それから僕は変わってゆく
君らと同じようになってみたい
人々は遠ざかり 人々は霞んでゆくけれど
君らの前で 胸を張れる人間になる

思い出が 煌めきに変わって
脚色したことがほとんどだったとしても
僕にとっては 本当のことで
君らは素晴らしい 君らは美しい

それから それから 言葉を探しても
伝えたいことはたった一つしかなくて
暗がりに潜みじっとしていたとしても
僕は追いかけている 僕は語りかけている

君らが僕を見て逃げる夢を見た
目覚めた朝に 僕は笑ってしまったんだ
わかっている 笑えないけれど
それでも 思い出せたから

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