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詩「羽のない虫」

20240429

色とりどりの 瞬き揺れる
灰色の空 打ち上げる夢
冷めやらぬ街 ひしめき合って
虫たちは揺れ 蜜を求めて

いつまで響く サイレンの音
高架下では 黒いスーツが
怪しく光る 瞳の中で
札束燃やす 灰になっても

彼は一人で うずくまるだけ
すりむけた膝 さする暇なく
啜り泣く声 耳に残して
罵る奴の 名前刻んで

味のないガム 日常のカス
ほこり溜め込む ワンルームから
這い出したガス 足音はなく
驕り高ぶる 奴らを睨む

彼は愚かで 自惚れた奴
蜜の真ん中 陣取る深夜
誰もいなくて 助けを呼んだ
孤独ごときで 死んでいく奴

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