詩📓「アンテン」

20240529

問いかける　誰？　名前を呼ぶ声　何故知っている？　彼は戸惑う　冷や汗をかきながら　ただ　昨日食べた　マクドナルドの　ダブルチーズバーガーが　腹の中に　びっしりと入っていて　集中出来ない　聞いたことのある声なので　頭を　ほじくり返せば　見つかるはず　なのに　何も　思い浮かばない　忘れよう　そう決めて　テレビをつけてみる　すると　同じ声がした　この人が呼んでいたのか　何故　この人が　呼んでいるのだろう？　暗転　場面が切り替わる　彼は　テレビに出ている　色々な質問に答える　疲れていて　良い答えが　思い浮かばない　諦めて　怒ってみる　司会が　怒っている　ちゃんと答えなさい！　そう言われて　答えなどない！　彼は叫んでみる　内心　何も怒っていない　暗転　場面が切り替わる　彼は　ベンチに座る　電車が通り過ぎる　もう何本見送っただろう　行きたくない　わけではない　どんな顔をして　彼は　彼女に会えば良いのか　わからないだけだ　暗転　場面が切り替わる　彼は　靴下を　履こうとする　後ろにこけて　頭をぶつけ　大事な　脳内の　パズルのピースを　紛失する　あれさえあれば　全てうまくいくのに　暗転　場面が切り替わる　彼は　高層ビルの　屋上に居る　煙草を吸いながら　フェンスの向こうで　呼びかける声が聞こえる　早まるな！　そう言われて　何を？　何もかも　遅過ぎるから　何もかも　諦めるしかないんじゃないか　と彼は思う　虚しい気持ちで　いっぱいで　空が晴れて　散歩日和でも　空中に　一歩を踏み出すしかなく　暗転　場面が切り替わる　彼は　パンケーキを食べる　美味しくはない　メープルシロップより　ハチミツの方が好きだ　上に乗った　クリームが　憎らしくて　睨みつけてみる　暗転　場面が切り替わる　彼は　呪われた森にいる　何故呪われたか？　そんなことはどうでも良い　なんとなく　そんな気がするだけ　だから　怖くて仕方がない　この森を抜けなければ　死ぬまで彷徨う　そんな予感しかなく　歩き続ける　散歩日和？　そんなわけもなく　しとしとと降る雨に　体温が　どんどん　奪われていく　暗転　場面が切り替わる　彼は　自由の身になる　暗転　場面が切り替わる　彼は　喉仏と語り明かす　暗転　場面が切り替わる　彼は　服を探す　暗転　場面が切り替わる　彼は　工事現場の死体を見つける　暗転　場面が切り替わる　彼は　難しい顔をする　暗転　場面が切り替わる　彼は　助けを呼ぶ　暗転　場面が切り替わる　彼は　意味もわからず　暗転　場面が切り替わる　彼は　繰り返しているのか　暗転　場面が切り替わる　彼は　この星を旅立つ　暗転　場面が切り替わる　彼は　苦しみの中でのたうち回る　暗転　場面が切り替わる　彼は　宇宙船でコーヒーを飲む　暗転　場面が切り替わる　彼は　少しだけ嘘をつく　暗転　場面が切り替わる　彼は　名前を呼ぶ　暗転　場面が切り替わる　彼は　よく知ってる名前を呼ぶ　暗転　場面が切り替わる　彼は　名前を忘れる　暗転　場面が切り替わる　彼は　名前を作り出す　暗転　場面が切り替わる　彼は　何億光年と旅する　暗転　場面が切り替わる　彼は　テレビを点ける　暗転　場面が切り替わる　彼は　テレビを消す　暗転　場面が切り替わる　彼は　ノイズが走る　暗転　場面が切り替わる　彼は　辿り着く　暗転　場面が切り替わる　彼は　暗転　場面が切り替わる　彼は　暗転　場面が切り替わる　彼は　暗転　場面が切り替わる　彼は