詩「造花」
20240202
誰もいない原宿の隅に
しおれた彼は一人
シャッター 落書き 竹下通り
表参道に思い入れはない
散歩の時に似合うコーヒー
代々木公園の前に
顔馴染みになったカラスたち
あの建物は変な形
飛び出した家は部屋一つ
狭苦しくて電気と水道は止まる
蠟燭の火で不味い飯を柏の時は何食う
短いようで長い不吉な日々
痛みに慣れてしまった
石の裏に棲み着いてしまった
その感覚から逃れることなく
大人に変わっていった
成長などしていない
ただ腐っていく感覚の中で
心にはいつも彼が居て
それがとても気に入らない
何からも逃げ続けて
それに慣れて また彼は一人
あの頃と同じコーヒーを飲み
しおれながらまた咲くのを待つ
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