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マグネシウムの経口予防投与はP2X7受容体を発現する肥満細胞の大腸蓄積を減少させることで、デキストラン硫酸ナトリウム誘発性大腸炎を改善する
大腸炎患者の数は年々増加しています。その発症要因の1つとして、大腸の免疫細胞(肥満細胞など)のP2X7受容体を介した活性化による腸炎症が示されています。P2X7受容体(P2X7R)の活性化は、マグネシウムなどの二価金属カチオンによって抑制されることが知られていますが、マグネシウムの投与が大腸炎を予防または緩和するかどうかはこれまで不明でした。
本研究では、マグネシウム塩化物(MgCl2)の経口投与およびマグネシウムを豊富に含む硬水の摂取が、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎を改善することを報告します。
DSS溶液(3%w/v)を自由摂取させることでマウスに大腸炎を誘発しました。その後、P2X7R拮抗薬であるブリリアントブルーG(BBG、250 mg/kg)、マグネシウム塩化物溶液(100または500 mg/kg)を経口投与、または212ppmのマグネシウムを含む硬水を自由摂取させました。
DSS処理を受けたマウスでは、疾病活動指数の上昇、結腸の短縮、組織学的スコアの悪化が観察されましたが、BBG投与およびマグネシウム塩化物溶液の投与や硬水摂取によってこれらが部分的に改善され、大腸内のP2X7R陽性肥満細胞の蓄積が減少しました。
これにより、マグネシウムの経口予防投与や摂取は、P2X7Rを介した肥満細胞の活性化や蓄積を抑制することで、DSS誘発性大腸炎に対して部分的に保護効果を持つと考えられます。
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