今さらながら,日本酒について学んでみた: WSET SAKE LV.3 という英国の講座で日本を学んだ体験 (1/2)

『日本酒』という酒類があります.お酒というのはその地域の文化の大きな側面ですから,日本人としては,日本酒についてもそれなりに知っているのが当然だと思うわけです.
ところが,外国の人に日本酒について訊かれると答えに窮します.「お米で作った,ま,ワインみたいなもんですわぁ…」とテキトーなことを言ってかわすのがせいぜいです.
例によって言い訳ですが,わたしが酒類を飲み始めたころは,日本酒というとオッサンやジジイが飲む古くさいもので,当時のヤングシティボーイにとっては忌避すべきものでした.宴会などではビール瓶と徳利が並んでいたものですが,徳利の方は飲まれずに余ることが多く,やがてほとんど見かけなくなったようです.ですから,わたしが日本酒に縁が薄くてもムリもない気がするのです.
また,蒸留酒を飲むことの多いわたしには,糖の多い醸造酒はあまり身体に良くないだろうという考えもあります.

しかし,そんな日本酒もその後はそれなりに人気が高まったりして,最近では外国の人からも注目が集まり,有名な日本酒ブランドが海外に醸造所を設けたりもしています.そこで,これは少し学んでおくべきだと思うようになりました.外国の人にも通じるように,国際的な視点で日本酒を学べる機会はないものかと思っていたところ,そんな資格があると聞き,教本を取り寄せてみました.
ところが,それがひどく読みにくく,どうやら日本語の本を強引に英語に訳したもののようです.関係代名詞で何行も連結したような冗長な文章がくどくどと続きます.明らかに誤った単語の使い方も散見されますし,ずいぶん古い統計データも載せられています.紹介されている利き酒の手法にも納得のいかないものを感じました.
ま,文章については人のことは言えませんが,その本を読むことが学習となり,読み終わったら試験を受けるという,ま,比較的安易な制度かと感じます.がっかりしてあっさりやめることにします.こういう日本の伝統的なことについて国際的に学ぶ機会は,あまりなくて難しいのだろうと諦めかけていました.

WSET(Wine & Spirits Education Trust)という英国の教育機関があります.主にワインについて,世界に向けて教育や資格の授与をしているところらしく,国際的にも広く知られているのですが,そこに”SAKE”というコースがありました.その半年間におよぶ講座が日本でも受講できると聞き,調べてみますと,これはなかなか内容が濃くしっかりと構成されているようです.そこで,懲りもせずこちらに通ってみることにしました.
最終試験に合格しますと,そこそこ権威のある資格が授けられるようですが,けっこう難関だそうです.そこまでやらなくても,ま,ある程度知識が増えたら途中でやめてもいいという考えです.またまた言い訳ですが,手術直後の視力の問題があって,そういうのが苦手なわけです.どうもアルファベットは,日本語より読みにくいように感じます.

さて,教室に行ってみますと,10数人の受講生がおられ,だいたい30歳代の人が中心でしょうか.男女は半々で,国籍も半数が外国の人です.先生はイングランド人で,日本の酒蔵でも働いた経験があるとのことです.英語が聞き取りやすいのは助かります.
みなさん多かれ少なかれ酒類に関係した仕事の人たちのようで,とても熱心で,わたしとしては,場違い感丸出しで気後れがします.活発に質問や返答が飛び交う教室にいますと,昔に外国の学校で過ごしたことを思い出します. (つづく)

(ひろかべ)

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