ひろかべ

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川崎港海底トンネルを歩いて渡ろうとしてみた(2/2)

「川崎港海底トンネル」を東扇島から内陸に向かって歩いて戻ろうとしているわけですが,道中で困るかもしれないと思い,公園の中にあるトイレに寄ります.最近ではもう珍しくなった古いトイレの匂いを大量に吸い込むことになります.ほとんど管理されていない感じです. さてトンネルの入口小屋から階段をどんどんどんどん降りていきますとようやく目当てのトンネルを見ることができます.幅が3mぐらい,高さも3mぐらいでしょう.四角い穴が延々と奥へ続いています.天井には蛍光灯が点いており,床はなぜかピ

    • 川崎港海底トンネルを歩いて渡ろうとしてみた(1/2)

      川崎市の海っぺりに「川崎港海底トンネル」というものがあると聞きました.東扇島という人工島に繋がるものらしく,全長は1.2キロぐらいで,人間も歩いて通れるとのこと.これはぜひ歩いて渡ってみなければと思い,JR川崎駅からバスに乗って行ってみたわけです. トンネルの手前にあるらしい「JERA川崎火力発電所前」というバス停で降りるつもりでした.が,完全にタイミングを誤って降り損ねました.言い訳をしますが,このあたりはバス停の間隔が異様に短く,手前のバス停を過ぎてから次の車内アナウン

      • 女王 メアリ・スチュワートと,その周りで死んでいった男たち

        女王さまと言いますと,日本では18世紀のフランス女王マリー・アントワネットが有名でしょう.漫画や舞台でも盛んに扱われてきました.しかし16世紀のスコットランドにも,なんだかドラマチックな運命をたどった女王さまがおられたようです. そのメアリ・スチュアートは1542年の生まれらしいですので,徳川家康とほぼ同い年ということになります.そのころにはウイスキーの原形となる,穀物を原料とした蒸留酒はあったようです.しかし樽で熟成して現在のような色や香りのものになるのは,その後さらに20

        • 人生で最も痛かった注射と怖かった注射

          またまた注射の話しになりそうです.わたしはつくづく注射が嫌いなのだと思います. ある女性のタレントさんが背中の粉瘤(ふんりゅう)を切除されたという記事を見ました.例によって勝手な解釈ですが,粉瘤というのは,ま,いわゆる「おでき」の一種と言えるものでしょう.皮膚の中に袋状のものができていて,その中にいろいろいらないものが溜まったりして皮膚の表面が盛り上がってくるもののようです.誰にでもいろんな部位にできる可能性のあるようですが,おでこや背中などが多いようです. 自分もしばら

          ミズナラ材の樽で熟成したウイスキーはおいしいのか?

          ウイスキーの品質の大半は樽熟成によって決まるわけですが,そこで使われる理想的な樽材は,オーク材,つまりはナラの木ということになっています.主に米国や欧州大陸で育ったナラ材が使われますが,日本に育つナラとしては『ミズナラ』という種類の木があり,そのミズナラ材の樽による熟成が日本のウイスキーの独自性だと言う意見もあります.そこでちょっと調べてみました. 専門的にはミズナラにも細かい種別があるようですが,ほぼ同じものが中国にも広く分布しているようです.決して日本独自の木材ではない

          ミズナラ材の樽で熟成したウイスキーはおいしいのか?

          お寿司の『わさび巻』の別名が『涙巻』であることを知った新潟・上越の夜

          新潟県上越市を訪ね,夜は冷たい雨の中をお寿司を食しに出かけたわけです.わたしはおいしいお寿司が大好きなのですが,逆においしくないお寿司を出されるとしっかり腹を立てるタイプの人種です. 海産物がおいしいとされるこの辺りですので,いやが上にも期待が膨らみます.入ったお店では決して裏切られることはありませんでした.何を握ってもらっても大変に美味ですし,地元の日本酒もよく引き立ててくれますので,すっかり満足していました. そろそろ最終盤と考え,『わさび巻』を頼んでみますと,初老の大

          お寿司の『わさび巻』の別名が『涙巻』であることを知った新潟・上越の夜

          今さらながら,日本酒について学んでみた: WSET SAKE LV.3 という英国の講座で日本を学んだ体験 (2/2)

          講座に通っていますと,自分が実に無知な日本人であったことを思い知らされます.10数人のクラスなのですが,30歳代が中心でしょうか,多少なりとも日本酒に関連した仕事の人たちのようです.男女は半々で,半数が外国の人といった感じです.みなさんとても真剣ですので,心がまえの悪いわたしは,かなり焦るところです. 先生はイングランド人で,英語は聞き取りやすいと感じました.日本の酒蔵で働かれたこともあるとのことで,「蔵人の作業の大半は,掃除と洗いものだ」といった話が印象に残ります.どう考え

          今さらながら,日本酒について学んでみた: WSET SAKE LV.3 という英国の講座で日本を学んだ体験 (2/2)

          今さらながら,日本酒について学んでみた: WSET SAKE LV.3 という英国の講座で日本を学んだ体験 (1/2)

          『日本酒』という酒類があります.お酒というのはその地域の文化の大きな側面ですから,日本人としては,日本酒についてもそれなりに知っているのが当然だと思うわけです. ところが,外国の人に日本酒について訊かれると答えに窮します.「お米で作った,ま,ワインみたいなもんですわぁ…」とテキトーなことを言ってかわすのがせいぜいです. 例によって言い訳ですが,わたしが酒類を飲み始めたころは,日本酒というとオッサンやジジイが飲む古くさいもので,当時のヤングシティボーイにとっては忌避すべきもので

          今さらながら,日本酒について学んでみた: WSET SAKE LV.3 という英国の講座で日本を学んだ体験 (1/2)

          遺言書を書いて法務局に預けてきた

          ちょっとしたきっかけがあって,自分が死んだときに備えて遺言書なるものを書いておこうと思ったわけです.遺言書を残さずに死んだ場合は,法定相続のきまりに沿って該当する人に引き継がれることになります.たいした金額のものではないとしても,何かあって死ぬ間際になって,「あー,あれはあそこに引き継がれるのか…不本意だなぁ…」などと残念な思いをしながら逝くのはつらいだろうと思います. 自分の持ち物の行き先を自分で決めておいた方が,気持ちよく逝けると思うわけです. 公正証書になっている遺言

          遺言書を書いて法務局に預けてきた

          最近国内のウイスキー蒸留所を訪ねて感じること

          コロナ感染症のせいで,スコットランドなどには行けなくなっています.もちろん国内でも外出を控える中ではありますが,流行の間隙を突いて,日本国内の蒸留所を訪ねたりはしてきたわけです. 蒸留所を見るというのは,好きな人にとってはとても楽しみなことです. 一度訪ねた蒸留所というのは,わざわざ訪ねて行った自分の努力もありますから,その後も長く愛着を感じるものです.たいていはその蒸留所の個性が際立って記憶され,満足感とともに強い印象が残ります. 後にバーや酒店でそうした蒸留所のボトルを

          最近国内のウイスキー蒸留所を訪ねて感じること

          未熟成のウイスキー:ニューメイクスピリッツをいろいろ飲んでみた

          かなり前のことですが,日本のウイスキー蒸留所が出しているニューメイクスピリッツなるものをいろいろ飲み比べて,おいしさを評価してみるという場がありました.ニューメイクというのは,熟成がまだ進んでいない状態のものですね. 関わってみて,少し無理があったかな,と思いました. そもそも,わたしがニューメイクを飲む機会はあまりありません.生産に関わっていれば自前のものを日々試飲するのでしょうが,わたしのような飲み手としては,蒸留所を訪ねた際に少し舐めさせてもらうことがある程度です.

          未熟成のウイスキー:ニューメイクスピリッツをいろいろ飲んでみた

          スコットランドでのウイスキーの密造と,マルコム・ガレスピーという男

          ウイスキーという酒類は,不良のお酒だと思うわけです. スコットランドにはずいぶん昔から蒸留酒を造る技法が伝わっていたようですが,公式な記録としては1400年代末に残されているようです. 1700年代に入ってイングランドによる併合後,高い酒税や先住民の追い出しなどの事情がいろいろあるわけですが,北部ハイランドの人々は密造に精を出すようになったようです.その際に蒸留酒を樽に入れて隠していたことが,長期間にわたって樽熟成を施すウイスキーの特徴となったとも言われています.もちろん,保

          スコットランドでのウイスキーの密造と,マルコム・ガレスピーという男

          ジャパニーズウイスキーの個性や優位性は どんなところにあるか

          近年,日本国内にも新しい蒸留所が次々に設立されています.日本でウイスキー造りが始まってから一世紀近く経ちますが,長くは国内の市場に向けた ごく限られた会社による取り組みでした.しかも90年代以降は消費量が落ちたため,生産が縮小されてしまっていました.ですから,国際化した市場の中で,広く多くの人が本格的なウイスキー造りに携わるようになったのは最近のことで,まだまだ新興国と言える状態でしょう. そんな中で,今後どのようなウイスキーが出されてくるのか楽しみではありますが,日本ならで

          ジャパニーズウイスキーの個性や優位性は どんなところにあるか

          臭気判定士になるための,嗅覚検査を受けてみた

          以前,『臭気判定士』という資格について書きましたが,その資格を取るためには嗅覚の検査を受ける必要があるとのことで,ま,ペーパーテストの方は合格しましたので,ちょっと行ってみたわけです. ふつうの嗅覚があることを試す検査ですので,喫煙者を除けばだいたい合格するとのことでしたが,実際に受験するとなるとやはり緊張します. 先に言い訳をしておきますと,当日は鼻が凍り付きそうな寒さで,しっかりマスクとネックウォーマーで温めながら向かわねばなりませんでした. 直前に暖かいお湯を飲んで鼻腔

          臭気判定士になるための,嗅覚検査を受けてみた

          ウイスキー造りは難しいビジネス:その理由

          ウイスキーの蒸留所は,随時新しく創業される所がある一方で,姿を消す所もあります.海外でも日本でもそうです.とても難しいビジネスだと思う点を挙げてみます. 1. 種々の規制を受けること ウイスキーは食品ですから,変なものは作れません.また,アルコールは,大火災を起こしかねない危険物で,過去にも蒸留所の火災の例はあります.さらに,社会的な問題となりますので,紛失して出回るようなことがあってはなりません.酒税の管理も厳しいです.そのため,創業にはライセンスや認可が必要ですし,操業

          ウイスキー造りは難しいビジネス:その理由

          東京・新橋で食した異常な辛さのカレーライスのこと

          かつて,東京の虎ノ門というか新橋の西側あたりに頻繁に行くことがありました.目的地の近くに小さいカレー屋さんがあって,そこのカレーが猛烈に辛かったわけです.辛さが売りのカレーは別に珍しくありませんし,わたしも各地でしばしば楽しんできました.しかし,そこのカレーはとにかく異常に辛かったのでした. 店内はカウンターを囲んで5,6席しかなく,ネクタイ姿の人たちが数人掛けておられます.内側には二十歳前後ぐらいの,ちょっとメイドのような服装のウェイトレスさんがひとり,無表情に立っておら

          東京・新橋で食した異常な辛さのカレーライスのこと