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テレワークを始める人に贈るZoomの使い方(1) カメラマイク準備編

便利なウェブ会議ツールZoomについて、テレワークを始める人に、使い方を分かりやすくレクチャーします。用途は主に在宅勤務を想定していますが、地域コミュニティー活動や教育でも役立てていただけるかも知れません。

この記事では、パソコンにつなぐカメラやマイクなどの準備を説明しています。
以下の方には不要な内容ですので、次記事「テレワークを始める人に贈るZoomの使い方(2)」に飛んでください。
・カメラ付きのパソコンをお持ちでZoomを使いたい方
・カメラやマイクなしですぐZoomを使いたい方

また、スマホやタブレットでZoomを使いたい方は「テレワークを始める人に贈るZoomの使い方(5)」へ飛んでください。

それぞれの説明ごとに【ステップA-1】の形式で項番を付けています。Zoomに詳しい人からこの記事を案内され、うまく行かない・意味が分からないとき、このステップ項番を伝えて相談すると解決が早くなると思います。

A. カメラとマイクなどの準備

最初から違うことを述べるのも変ですが、Zoomはカメラやマイクがなくても使えます。相手のことを見るだけ聞くだけでも使う価値はありますし、資料を共有したり、文字会話(チャット)だって使えます。ウェビナー(ウェブ+セミナーの造語)と呼ばれるオンラインイベントも、数人規模の小さなものでない限り、カメラ・マイクなしで参加できるものが多いようです。(不安なときは事前にイベント主催者へお尋ねください)

でも、せっかくZoomを始めるなら、やっぱり、カメラやマイクも使ってみたいですよね。

①カメラ

Zoomで使えるカメラは、個人用のウェブカメラと会議用のカンファレンスカメラに大別できます。

【ステップA-1】
ウェブカメラは、エレコム、バッファローなどのパソコン周辺機器メーカーからも販売されていますが、コスパとソフトの安定性で、ロジクール製品が人気のようです。
参考:WEBカメラ 通販 価格比較(価格.com)

各メーカー一律に並べた比較は価格.comなどにお任せするとして、ここでは現行のロジクール製品を例に、モデルの違いを説明します。

ロジクールカメラ一覧

引用元:ウェブカメラ新製品を7機種発売 既存の人気製品をリニューアル(株式会社ロジクール、2019年4月17日)

ランク別にいくつものモデルがラインナップされていて選択は悩むところですが、まず、気にしたいのはオートフォーカス機能の有無。C525n以上のモデルが対応しています。これは、カードのような小物をカメラに近付けて見せるとき、必要になる機能です。オートフォーカスがないカメラは、小さな物をクローズアップしたくて近付けるとボケてしまい、はっきり見えません。

次に気にすべきなのは、レンズの種類。C615n以上はガラスレンズ、それ以下はプラスチックレンズです。光が背面から当たっている(いわゆる逆光状態)のとき、プラスチックレンズは、霞んで黒いものも白っぽく写りやすい。くっきりした写りは、ガラスレンズのほうが優れています。さらにフルHDガラスというのになると、細かいところまでよく映るのですが、そこまでの画質(フルHD)はなくても、Zoomには十分でしょう。

そのほか、C920sとC922nには、Logicool Captureという専用ソフトが付いています。これは、カメラをズームしたり明るさを変えたりできる優れモノで、映りにこだわりたい人に向いています。
三脚用の取付穴があることも、C920sとC922nの特長です。会議室や談話室で使うときに重宝します。さらにC922nは小型の三脚が付属していますが、あまり使いやすいものではないので、三脚を必要とするときは別途購入するほうが良いでしょう。

総合的に見て、ウェブカメラとりあえずの一択ならば、オートフォーカス付きのC525nをお勧めします。

ここまで、個人用のウェブカメラの説明でした。

【ステップA-2】
カンファレンスカメラ
は、広角レンズやパノラマレンズで、会議室や談話室の広い範囲を写せることが特徴です。電動機構(PTZ:パン・ティルト・ズーム)を搭載し、光学ズームで望遠域まで高画質を維持する製品になると10万円以上しますが、一般的な会議にそこまでの内容は必要ないでしょう。画面でじっくり見たいのは、参加風景よりも資料のほうです。エクセルやパワーポイントなど、電子ファイルの資料を見せるのにカメラは要りません。まずはウェブカメラでウェブ会議を運用してみて、どうしても必要と感じたときに限って、カンファレンスカメラを検討しましょう。
参考:カンファレンスカム推奨部屋レイアウト(ロジクール)

②ウェブカメラの代用

【ステップA-3】
3月下旬以降、テレワーク需要の高まりにより、ウェブカメラの品薄が起こっています。代替策は三つあります。
参考:Webカメラ、なぜ店頭から消えた? メーカーは「前月比200%の販売数量」「増産でニーズに応えたい」(ITmedia)

②-1. スマートフォン

スマホの内蔵カメラをウェブカメラ代わりに使えるアプリ「NDI HX Camera(iPhone版)」「DroidCam(Android版)」「iVCam(iPhone版Android版)」などを試してみると良いかも知れません。
手持ちや立てかけでは映像が安定しないので、スマホスタンドの利用をおすすめします。安価なものは100円ショップで入手できますし、専門メーカー製品ではSLIK マルチポッド3x4がとても便利です。
参考:テレワークで使える“おすすめ”代用品、在宅勤務でもパフォーマンスを発揮できる仕事環境を構築してみる(INTERNET Watch)
参考:カメラ無しPCでも大丈夫、手持ちのスマホをアプリでPCカメラに転用する(日経クロステック)
参考:Webカメラが品切れでもOK? スマホをWebカメラとして使える「iVCam」を試してみた(PC Watch)
参考:SLIK マルチポッド3X4(ケンコー・トキナー)

②-2. ビデオカメラ、デジカメ(HDMI→USB変換)

お持ちのビデオカメラやデジカメにHDMI(デジタル映像出力)端子が備わっていれば、HDMI→USB変換アダプターを入手することで、パソコンにつなぐことができます。I-Oデータ GV-HUVC/S、サンワサプライ USB-CVHDUVC1、Elgato(エルガト) CAM LINK 4Kなどが代表的製品です。
注意点として、カメラによっては文字や記号の表示が消せない機種があります。「HDMIクリーン出力」と言われている撮影画像だけをHDMI出力できるカメラ機種が良いのです。バッテリーの持ち時間も重要で、USB給電できるカメラが向いています。
参考:ビデオ・オーディオキャプチャー(I-O DATA)
参考:デジカメ・ビデオとディスプレイを接続する(サンワサプライ)
参考:CAM LINK 4K カメラを解き放て(Elgato)
参考:SUPPORTED CAMERAS (Elgato/英文)

②-3. デジカメ(ウェブカメラ対応)

デジカメの機種によっては、ソフトウェア導入によりウェブカメラ対応できるものがあります。キヤノン、ニコン、オリンパス、富士フイルム、パナソニック、ソニーから対応が発表されています。②-2.と同様、バッテリーの持ち時間も重要で、USB給電できるカメラが向いています。
参考:キヤノン、Webカメラ化ソフト「EOS Webcam Utility 1.0」を公開
参考:100万ダウンロードを超えた「EOS Webcam Utility」。Mac用の正式版が公開
参考:ニコンのWebカメラ化ソフト「Webcam Utility」が正式版に
参考:ミラーレス一眼カメラならではの高画質をWeb会議用に提供するベータ版ソフトウェア「OM-D Webcam Beta」を提供(オリンパス)
参考:X/GFXデジタルカメラをオンラインミーティングで利用できるソリューションを提供開始(富士フイルム)
参考:X/GFXシリーズのデジタルカメラをWebカメラとして活用できるソフトウエア「FUJIFILM X Webcam」がmacOSにも対応(富士フイルム)
参考:パナソニック、LUMIX S/GシリーズカメラをWebカメラ化するソフトを発表(デジカメWatch)
参考:ソニー、Webカメラ化ソフト「Imaging Edge Webcam」公開(デジカメWatch)
参考:ソニーのWebカメラ化ソフト「Imaging Edge Webcam」Mac版が公開(デジカメWatch)

③マイク/イヤホン/ヘッドセット/スピーカー

【ステップA-4】
マイクは、カメラ内蔵ものにするか、イヤホンやヘッドセットに付いたものを使うのが一般的です。カメラ内蔵のマイクはお手軽ですが、使う人以外の周囲の音(エアコン、道路、子供など)を拾いやすいことに注意が要ります。会議の相手に配慮するなら、イヤホンかヘッドセットに付いたマイクの利用をお勧めします。クチの近くで声が拾えるので、周囲の音から逃げられます。

マメ知識。音が空気中を拡散して伝わるとき、距離が離れるほど音は小さくなってしまいますが、その割合は、距離の二乗に反比例します。例えば、10cm先で聞こえる音に比べ、20cm先で聞こえる音は1/4 、0.25まで小さくなるわけです。でも、1m先で聞こえる音と1.1m先で聞こえる音を比べると、その違いは1/1.21、約0.83です。だから口元のマイクのほうが、周囲の音から逃げられるのです。

在宅勤務では、スピーカーよりイヤホンかヘッドセットをお勧めします。スピーカーは、仕事相手が話している内容を、周りの家族に聞かれてしまいますよね。おひとり様のときも、イヤホンやヘッドセットを使いますと、気持ちをオンとオフに切り替えできます。

イヤホン・ヘッドセットは、パソコンとの接続方法で大別すると、三つの種類があります。ミニジャック接続USB接続Bluetooth(ブルートゥース)接続です。ミニジャックとUSBはケーブル(有線)、Bluetoothは無線でつなぎます。Bluetoothはケーブルのわずらしさから開放されて便利ですが、パソコン側の設定(ペアリング)に少し知識が必要です。また、電波の性質上、電子レンジを使うと音の途切れることがあります。

ミニジャックは、電気的な接触不良のトラブル(音途切れ、雑音)が起こりやすいようです。また、ミニジャックはスマホ用とパソコン用で端子の種類が違う(スマホ:4極×1本、パソコン:3極×2本)ことも注意してください。ややこしいのですが、最近のモバイルパソコンにはスマホ用の4極が使えるものもあります。

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まずはUSBのものを入手し、余裕があればBluetoothも検討すると良いでしょう。手軽なのは、ダイソーなど百円ショップのBluetoothイヤホンです。300円・500円などで販売されています。電池容量が小さく、通話時間が1時間ほどに限られていますが、ちょっと試してみる程度は使えます。

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そのほか種類の違いに、両耳用と片耳用が挙げられます。在宅勤務には、片耳用をお勧めします。覆われない方の耳からご自身の声や周囲の音が聞こえるので安心できます。長時間の会話にも疲れにくいようです。
参考:片耳用のヘッドセット 製品一覧(価格.com)

④会議用スピーカー

【ステップA-5】
会議室や談話室に何人か集まって声を伝えたいときは、参加人数分の声を拾える高性能なマイクスピーカーが必要になります。4人までの声を拾って実用になる製品は3万円くらいからありますが、人数が増えると対応製品は高額になります。企業で購入する場合は、ヤマハ、Jabra(ジャブラ)、ポリコムなど各社の無料貸し出しプログラムを利用して評価すると良いでしょう。
参考:音声コミュニケーション機器 デモルーム・無料貸出(ヤマハ)
参考:無料トライアルにお申し込みください(Jabra)
参考:ご購入の前にお試しください(ポリコム/プラントロニクス)

注意したいのはエコーキャンセラー機能です。マイクとスピーカーが一体になっていると、スピーカーから発した音を自身のマイクで拾ってしまい、それをまた相手に送ってしまうことが起こります。何の対策もないと、やまびこのように音がワンワンずっと響いてしまって、会話に支障をきたします。それを防ぐ仕組みが、エコーキャンセラー機能です。二種類の方式があり、不快な響きが出そうなときにスピーカーの音を止めてしまう抑止(サプレッサー)方式と、高度なデジタル音響処理で不要な音のみを打ち消しする適応型キャンセラー方式があります。サプレッサー方式のマイクスピーカーは安価ですが、会話がぶつかると相手の声が聞こえなくなり、同時の双方向会話ができません。会議でこれは、ちょっとしたストレスになります。この点から、おすすめは適応型キャンセラー方式の製品です。
参考:音環境用語集:遠隔会議システム(ヤマハ)

B. カメラとマイクなどのソフトインストール

【ステップB-1】
製品についている説明書にしたがって、ドライバーソフトをインストールします。

USB端子でつなぐ製品は、ほとんどのものがパソコンに機器のUSBケーブルをつないだ時点で、対応のドライバーソフトが自動でインストールされますが、念のため、つなぐ前に必ず説明書を確認しましょう。

Bluetoothでつなぐ製品は、ペアリング設定が必要です。パソコンに内蔵されたBluetooth機能と、イヤホン・ヘッドセットのBluetooth機能、両方の説明書を確認ください。

※ここまでで「A. カメラとマイクの準備」「B. カメラとマイクなどのソフトインストール」は終了です

次記事「テレワークを始める人に贈るZoomの使い方(2)」へ続きます。

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