見出し画像

台湾周遊(8) 花蓮 Hualien・太魯閣 Taroko 【世界旅行記025】

2012年8月10日(金) 台湾 台北 → 花蓮(台鐵 自強号)
2012年8月11日(土) 台湾 太魯閣

居心地のよい台北の宿を出て、花蓮(かれん)へと向かう。自強号に乗って3時間強、台湾のてっぺんから東海岸を走ってゆく。車窓から右を眺めれば、高い山々、深い緑、広がる畑。左手には海岸が見えてくる。風景だけ見たら、日本の田舎にいると言っても誰も疑わないだろう。列車から眺めていると、台湾がいかに自然に恵まれた豊かな島であるかがわかる。

台湾の真ん中より少し南には、東西に北回帰線が走っている。西側の嘉義県と東側の花蓮県を横切るラインで、そこから北は亜熱帯、南は熱帯気候となる。だからといって実際、天気や気温にどの程度の差があるのかはわからない。個人的には、台中や花蓮は少し涼しく、過ごしやすかった。高雄ほどの蒸し暑さは感じなかったが、たまたまそのときそうだっただけかもしれない(台北は台北でまた蒸し暑かった)。

花蓮は台湾のなかでも自然の多いエリアで、特に台湾八景のひとつ、太魯閣渓谷(タロコ渓谷)は人気が高い。花蓮に宿泊する観光客は、ほとんどが太魯閣を目指す。

宿のスタッフに話を聞くと、太魯閣は先週の台風の影響で土砂崩れがひどく、入場できない名所も多いという。とはいえ、全部が閉鎖しているわけではないというので、翌朝バスに乗って出かけることにした。ちょうど日本人が1人で宿に泊まっていたので、宿のスタッフの勧めで一緒に行くことにした。

山奥へ出かけるので、余裕をみて朝7時すぎには宿を出発。太魯閣は想像以上に険しい山のなかにあり、切り立った崖の直下を縫うようにバスは走ってゆく。土砂崩れの跡が至るところに残っている。日本だったら立入禁止になるような道路だ。台風の影響も大きいのだろうが、普段から絶えず土砂崩れが起きているような山肌に見える。

太魯閣渓谷は、大理石の岩盤が侵食されてできた渓谷である。薄い灰色をした巨大な石がごろごろと転がっている。川の水は台風の影響で濁っていたが、普段はもっと透明だという(上流へ行くほど透き通った水が流れていた)。この断崖がすべて大理石でできていると思うと、その壮大さに圧倒される。

ふと、なぜ日本にいるときは知らなかったような大自然のなかに、いま自分は立っているのだろうかと思う。なんとなく台湾を1周して、花蓮へ来たなら太魯閣へ行くのが定石だからと、たまたま知り合った日本人と一緒に断崖を歩いている(さすがにひとり客はほとんど見かけない)。旅に必然などない。いや、人の行いすべて必然などなくて、こうして偶然を受け入れていればいい。そういう考えになれれば、少しは楽に生きられるかもしれない。

そんなことを考えながら帰りのバスに乗り込んだら、間違ったバスに乗ってしまい、せっかく下山してきたのに、また山の一番奥まで戻されてしまった。2人で無言のまま、何度も同じ景色を眺めながら帰途についた。

太魯閣国家公園の入口。
燕子口で降りて散策。ツアー客はヘルメットをかぶっていて、若干不安になる。
天祥からの眺め。ここがバスで行ける一番奥の場所。寺院や宿泊施設がある。
断崖につくられた長春祠。東西横貫公路の工事中に殉職した人たちの霊が祀られている
先週の台風の影響で、あちこちに土砂崩れが……。
こんな巨石が転がってきたら、ヘルメットも意味をなさない。
花蓮は扁食(ワンタン)が有名。特に有名な液香扁食店にはメニューが1種類しかない。

← 前の旅日記:台湾周遊(7) 金瓜石 Jinguashi・九份 Jiufen
→ 次の旅日記:台湾周遊(9) ふたたびの高雄


Travelife Log 2012-2013
世界一周の旅に出てから12年。十二支ひとまわりの節目を迎えた今年、当時の冒険や感動をみなさんに共有したいという思いから、過去のブログを再発信することにしました。12年前の今日、わたしはどんな場所にいて、何を感じていたのか? リアルタイムで今日のつぶやきを記しながら、タイムレスな旅の一コマをお届けします。


いいなと思ったら応援しよう!