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短歌(連作) 琉球コーラ

(沖縄へ妻と銀婚記念に二泊三日の旅する。かの地は四十年ぶりだろうか。羇旅歌を詠める。)


片側をお土産用にからにする妻と沖縄へ銀婚旅行 

児が母にじゅうしいせがむその横で「ジューシー付き」の方を押す我

ベランダの夜の波音なみねと風のなかオリオンビールを二缶あける

年の瀬の浜辺に妻と佇みてくらき沖辺ゆ海風ウミカジを聴く 

五百年いほとせの世をへてありし首里城スイグシクかなしみ湛えるくろき城壁

とどかざりし祈りはあれど今もまだ祈りはつづく斎場御嶽セイファウタキ

道端に見しらぬ実の生る木のありて琉球コーラを自販機で買ふ

(ひめゆりの塔を囲むようにあまたの歌碑。そのひとつ
「岩枕かたくもあらん安らかに眠れとぞ祈る学びのともは/仲宗根 政善」)返歌二首
たましひよ安らかにあれ ひめゆりの塔に寄り添ふ歌碑いくばくか
おほひなるガジュマルの木のこもれびは自然洞窟ガマの岩肌をやさしく照らし

乗車拒否はやさしくつつまれ日本と異国のはざまの島にさまよふ

うつつでの活計たつきやなにかはさて措いて 島暮らしだなまづなにより


(辰年の年末を迎え)

結局は仕舞う場所替へ終はるだけ年末年始大掃除あと

カレンダーの鋲を外せば鋲穴は涙となりて 師走尽


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