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大将の戒め(リーダーの心得)

ロシアのウクライナ侵攻が始まってテレビのニュースを見ていると、様々な国のリーダーが出てきて国境に関する自分の意見を主張されています。先日アフリカの国のリーダーが国連の会議で述べておられたのが印象的でした。『ヨーロッパの人達は我々の民族や歴史に関係なく植民地の奪い合いの為に勝手に国境を決めた』という事を訴えていました。確かに衛星のカメラから見た地球にはどこにも国境線はありません。

つまり、自国の利益の事しか考えない内容の応酬を続けているのです。少しは相手の事を考えるようにすれば、もっと世界は平和になるのではないかと思います。国家のリーダーになれる人達はエリートでその辺りの屁理屈が上手な人達ですから、争いが絶える事はありません。そこで、その国に限らず、組織のリーダーとして求められる人の心得はどんな事があるのかを述べてみます。

リーダーの心得

リーダーには2通りのタイプがあります。一つは部下の尊敬と理解を集めるタイプです。もう一つは尊敬や理解なしで権力を振るおうとするタイプです。歴史から見ると権力に基づいたリーダーシップが長続きした例はありません。独裁者や専制君主は必ずその地位を失墜しています。これは、人々は強圧的なリーダーシップの持ち主には付いて行きたくないという事の証拠です。

近代ではナポレオン、ムッソリーニ、ヒトラー等は強圧的なリーダーであった事が知られています。従って彼らは皆惨めな末路をたどりました。長い間リーダーでいる為には部下の支援が必要です。力ずくのリーダーシップには一時的に従うものがいるかも知れませんがそれは喜んで従っているのではありません。リーダーが失敗する原因として次のような特徴が挙げられます。

よく『忙しい』と言う人

優れたリーダーはどんなにつまらない些細な事であってもリーダーとしてやるべきことはやらなければなりません。『忙しすぎて』と言い訳するような人は本当のリーダーにはなれません。忙しすぎて緊急事態に対処できないと主張する事は『自分はリーダーとしての十分な能力を持っていない』と宣言するのと同じです。言い換えれば細かな問題があればそれに対応できる部下に委任する習慣をつけておかねばならないという事です。

知識を大切にしすぎて行動しない人

世間はその人の『知識』に対して報酬を支払っているのではありません。その人が知識に基づいて何かをやってくれた時、あるいは知識に基づいて誰かに何かをやらせた時に報酬を支払うのです。

部下の挑戦を恐れる人

リーダーが部下に対して、自分の地位を奪われるのではないかという恐れを抱くならいづれは現実になるでしょう。優れたリーダーは部下を訓練して、いつでも自分の代役を務められるようにしておくものです。そうする事によってリーダーは自らの分身を作り、同時に多くの問題点に対して注意を払う事ができます。

また優れたリーダーは自分一人の労働によって得る収入よりも、部下に仕事を任せる事によって得る収入の方が多い事を知っています。その事を知っているからこそ自分の持っている職業的知識と魅力的な性格で部下の能力を上手に引き出し、有効に活用しようとします。また部下も有能なリーダーの下で仕事をする方が効率が高い事を良く知っています。

部下を不必要に傷つける人

部下の仕事にいちいち文句を付けるようなリーダーは嫌われます。優秀なリーダーは部下の名誉を傷付けたりはしません。部下が名誉を得る事を願うものです。有能なリーダーなら人間は認められ、褒められた方が良く働くという心理を良く知っています。

過激な性格

気性の激しすぎる上司を尊敬する部下はいませんし性格にムラがあると部下の忍耐力や活力まで破壊してしまいます。

本音で語り誠実である事

誰に対しても不誠実な人は長い間リーダーである事はできません。人々の軽蔑を買うのみです。誠実さの欠如は人生の失敗の最大要因です。

特権乱用

優れたリーダーは激励する事によって部下を指導するものです。決して権力によってではありません。権力で部下を抑圧しようとするようなリーダーは力ずくでトップに立った人と同類です。部下に対しては思いやりを持ち理解を示し公正でなければいけません。権力で押し付けるのではなく、仕事上の知識を示すだけでいいのです。

地位の誇示

優れたリーダーは肩書が無くても部下から尊敬されます。地位ばかりをひけらかす人は他に誇るべきものが無いからです。

徳川家康は大将の戒めを知っていました

徳川家康の『大将の戒め』

『大将というものは敬われているようでその家来に絶えず落ち度を探られているものだ。恐れられているようで侮られ、親しまれているようで疎んじられ、好かれているようで憎まれているものじゃ。大将というものは絶えず勉強せねばならぬし、礼儀もわきまえなければならぬ。良い家来を持とうと思うなら我が食減らしても家来にひもじい思いをさせてはならぬ。自分一人ではなにもできぬ。これが32年間つくづく思い知らされた家康が経験ぞ』

『家来というものは禄で繋いではならず、機嫌を取ってはならず。遠ざけてはならず近づけてはならず。怒らせてはならず油断させてはならないものだ。』

『ではどうすればよいのだ』

『家来に惚れさせねばならぬものよ』 1616年6月 徳川家康

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