ISO9000について
いまから20数年前の事になりますが、当時GAFAもなく世界の経済界では日本企業が一人勝ちしていると言われていました。その頃、一流の会社と認められるにはISO9000の認定を受けた方がいいですよと言われた事があります。
ISO9000
少し古い話になりますが、2000年の頃、ISO9000という米国の安全標準が様々な会社で導入されました。当時、この認定書がないと『応札や納入資格が取れなくなりますよ』とか『一流会社の納入指定業者リストから排除されますよ』とかの触れ込みでした。
これは『自分の考えや行動に自信が無い』『権威に弱い』『自分を賢く見せたい』という旧型日本人の特徴をうまく利用してお金を集める手口の大掛かりな詐欺であったようです。
日本のQCや安全標準のレベルは元々世界のトップレベルであって、その標準を海外に売るというのであれば納得もできます。しかし、その逆に米国の標準を唯一つの権威あるものと信じ込み、『自分たちは一流企業だ、従って取引先も一流の所としか相手にしない』と取引先にもこれの認定を求めさせる。
このような半分脅し、半分エリート意識をくすぐるような言葉を信じさせられて乗せられてしまったのです。多額のお金を意味のない認定書の取得に払い込み、実施済み試験まで受けて、副作用のある標準を導入させたのは国家的詐欺にも近い犯罪かと思いました。
この後にも証券会社や格付け会社、また経済学者等がグルになって海外の投資信託や株を実際の価値よりも高く売りつけて、下降線を始めていた企業の決算をよく見せようと企む人たちもでてきました。世界経済を揺るがせたリーマンショックについても同様な手口の延長線上で企まれたものであり、資本主義を終焉に導くような行為でした。
以前、旧ユーゴスラビアで仕事をした事がありますが、若者たちは元々共産主義の時に教育を受けていました。そして資本主義というものは間違ったシステムであり、こういう形で滅びるものだと教えられていたとの事でした。つまり教科書の通りという事です。
話はISO9000に戻りますが。この決まりが導入された後の会社に行ってみますと、まず外部の人は全員入り口で止められて、必要事項を所定の用紙に書き込みます。面接予定者に連絡してもらい、名札をもらって面談予定者の迎えを待ちます。そして会議室に案内されます。社内はブロックごとに区切られていて、多分設計上のミスであったと思いますが、一度一人でトイレに行くと締め出されて会議室に戻れないというような事件もありました。
その時既に外部の人間になっていた私としては何かスパイか罪人扱いされているようで、あまり気分のいいものではなかったのを覚えています。
要するにセキュリティーを優先して外部へ情報を漏らさないのが目的らしかったのですがこれは同時に外部からの情報を締出すことになりました。多くの上司がどんな情報もコンピュータで調べられるという考えになってしまい、取引先やユーザーの生の声に対する価値を認めなくなりました。
これにより市場の声を反映した売れる商品を作り辛くなくなったのは大きな副作用であったと感じます。特に商品開発を担当している技術部門の責任者が市場の声を聞けないわけですから、いわば大企業病蔓延の促進剤になったようです。
自分の会社にも商工会議所経由で、システム導入の勧誘がありましたが入るつもりにはなれませんでした。このような詐欺まがいの話に騙されるのは権威に弱く思考停止状態の日本人経営者が多いという事だと思っていました。また商工会議所の行い等はある意味国賊的行為だとも思います。
これはだいぶ後になって聞いた事ですが、ひとつ尊敬できる会社がありました。『俺達は三河式セキュリティーシステムを実施しているので、それについては要りません』ということでした。