脳トレについて

脳の老化防止には『脳トレ』をするといいと言う人がいますが、私はそうは思いません。何の練習でもそうですが、自分の五感を活用した方が効果が上がります。英語会話の練修でも教科書を暗記するとか、文法を勉強しても必要な労力と時間の割には上達できません。畳の上で水泳を練習する事を畳水練と言い、効果が少ない練習方法の代名詞になっています。

脳トレするくらいなら、自然の中で遊んだほうがずっと脳のトレーニングになります。ただ年を取ると体が動きにくくなるので、身体が動くうちに遊びを通じて自然に触れながら色々な経験をする事が大切です。

やるだけやれば、身体が動かなくなってからも『やるだけやったから、もうええわ』と納得できます。脳トレを重視する人はきっと体が動く時に自分の感性を無視してやるだけの事をやってなかった人たちではないでしょうか。その事で何かやり残したような不足を感じているのではないでしょうか。

本能に従って自然の流れに沿って生きていれば『今までこれだけやってきたのだから、もうええわ』という気持ちになれます。プロスキーヤーの三浦雄一郎さんは70歳を超えてから糖尿病と診断されましたが、食養生などせずに若者とすき焼きをたらふく食べてから脚にウェイトを付けて歩行訓練をし、ついに80歳を過ぎてエベレストに再登頂するという快挙をなさいました。あくまでも感性に対して正直で前向きです。

そう考えると大切にしなければならないのは『今やる』という実行力です。『老後にどうしようか』なんていう心配が起きるのは、脳に価値を置きすぎているからです。やりたい事をやっていないからです。老後の心配をするくらいなら今この時にやるべき事を本能に沿ってやるべきです。

若い人たちであれば『今にやります』ではなく『今やります』という感覚を大切にしてほしいです。面子や世間体に囚われすぎると脳は疲弊し、精神のバランスを崩す事になります。生きているのに生きていない。そんな人が増えてしまったのは、周りの人を気にして自然な形で脳を使わなかったからです。

本能に従い五感を使い『今やる』という感覚を大切にしていれば、精神を病む人は減っていくはずですし老化の防止にも役立ちます。

黄金の20年
 
自分が本当にやりたい事や楽しみたい事というのは多くの人の場合、その動機が子供の頃に作られています。子供の頃の遊び残しが年齢を重ねて余裕が生まれた時に意味を持ってきます。全てが子供の頃の残像です。子供の頃にどんな事に興味を持っていたのか、自分の可能性を拡大するような想像と実行をしてきたのかが大人になった時に生きてきます。
 
こう考えると日頃から想像の幅を広げるような習慣を持っていなければいけないと気づきます。もう子供時代には戻れないとしたらその頃の自分を思い返してやりたかった事を探し出す必要があります。
 
医療が発達した事で日本人の寿命は100歳時代と言われるようになりました。今から始まる黄金の20年は子供の時の遊びの延長です。お金と知恵と時間がある分だけ子供の頃より確実に楽しめる遊びの時間です。

綺麗な景色を見ると感動します

 
親による禁止事項
 
多くの母親は我が子に禁止事項を課します。『悪い友達と付き合ってはいけない』『危ない遊びをしてはいけない』『~時までには帰宅しなければいけない』『親が許可しないTVを見てはいけない』などです。
 
そんなに多くの禁止事項で子供をがんじがらめにしないと、その母親は『子供が非行に走ってしまうのではないか、悪い道へと迷い込んでしまうのではないか』と心配でしょうがないのです。そこで安心を得たいがために数多くの禁止事項を造ります。しかし、『あれをしてはいけない』『これもしてはいけない』という母親に子供は息苦しく感じるようになります。
 
やがて母親に面と向かって反抗するようになり、結局は非行に走ってしまいます。母親は安心を得られるどころか、子供に対する心配でかえって心が動揺するばかりです。親であれば、色々な意味で子供の事を心配するのは当然です。しかしこの事例の様に禁止事項をたくさん設ける事で安心感を得ようとする方法はむしろ逆効果になりやすいもので

パミール高原のクンジュラブ峠

 
人には禁止事項をあまりに押し付けられると、それに反発する心理が働く傾向があります。これはカリギュラ効果と言います。人は基本的に自由を求める生き物です。ですから、子供を信頼してある程度は子供の自発性に任せて親は遠くから見守っているという態度が賢明です。子供が自分の力で逞しく成長していく姿を見る方が安心できます。

子供の頃にやりたかった事を思い出し、余生は自分の感性を大切に生きていきたいと思います。

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