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美しく仕事をする①

今年の目標に限らず、これからの仕事の心得として
掲げた「美しく仕事をする」について。(その①)

私の仕事は建築やインテリアのデザインなので、
「美しい仕事をする」「美しいものをつくる」というのは
志としては大前提。
その他にもプロジェクトマネジメントという、
プロジェクトのデザインについても考えることが多い。

では、「美しく仕事をする」とはどういうことか?
自分の思考整理を含めて少し書き始めてみたい。

1,結果だけでなくプロセスもデザインする

一言で表すなら、「プロセスのデザイン」と言える。
建築やインテリアの空間はモックアップが作れない。
(模型ならいくらでも!)
敷地や階数含めて、地球上(宇宙含めて)同じ空間はなく、
まったく同じものを同じ場所につくることは不可能であることから、
結果同等の物事で検証をすることはできません。
(昨今のシミュレーション力は、その検証を可能にしつつある)
その唯一存在するであろう空間をつくるプロセスも唯一無二であったら、
できる空間、できた空間への想いや愛着が深まる。はず

そう考えると、建築はプロセスの仕事だとも言える。
1つしか作れないものを作るために膨大な時間と労力を注ぎまくる。
(設計に限らず現場で工事をする職人の作業も含め)
設計のプロセスでは何百、何万もの決定事項が積み重ね設計図が出来上がる。
デザイン段階から製作・工事段階までの共通言語として図面を作る

2,楽曲と設計

設計図は楽譜のようなものであると思うこともよくある。
作曲家として譜面を書き、指揮者として楽譜の意図をを指し示す。
それでも、、、一度しか奏でられない楽曲のようなもの。

音の旋律、リズム、和音が体に染みついて何度も使いたくなる。
建築で言えば、納まり、素材、構成などいろんな使い回りはありうるけれど、
その、癖ともいえるものはあったとしても、
一度限りの演奏であることには変わりがない。
一度限りの演奏だとしてもその一曲のために膨大な精神と労力を注ぐことで
結実する空間と空気は濃密なものにしつづけたい。

3,人の心を動かし超える

私は空間をつくるための図面や模型、イラストやCG、スケッチは
いつでも、いくつでも作りますが。
大きなプロジェクトのマネジメントをする際、
その役目を協働メンバーに任せることもあり、
マネジメントに専念するケースも多々あります。
図面を描かない、模型も作らないでは設計者、デザイナーとは言えない!
図面を描いた奴が一番偉いのだ!という考えは確固として持っていますが、
そうでない仕事で自分は何ができるかを考え直すことになるのです。

4,時間、空間、費用、責任

これらの調整は人の心を動かすことがかなり重要です。
不安を取り除く事も大事な調整事項。
立場で高圧的に時間と費用を削減するのはひとつ。
しかし、それでは他の誰かでもよいこと。
看板背負った顔も心もない人の言葉に動く人など、いるはずがない。
時間を気にせず、費用は抑え、責任を少し超えたところにしか、
いい仕事は存在しない。
人間関係を共犯関係にすることでいい仕事になる。
いたずらをする時の共犯関係のような、あの感覚。

モノ作りはそのマネジメントで決まると言ってもいい。
そんな瞬間に立ち会うことは幸せな時間のひとつ。
施主、現場監督、施工業者、各種メーカーなど、
大規模な仕事になればなるほど指揮するのは難しくなるが、
指揮者のように、あなたの輝く瞬間はここだ!と、
伝えられることで、不安から解放され躍動する。
その積み重ねこそ、マネジメント。

5,時間、空間、費用、責任を超えて

時間、費用、責任のどれも自分の範疇を超えない場所には、
ある種の快楽はあり得ない。
誰かの力を借りてもいいから、超えたところにみんなで行きたい。

誰だって、
好きな人のためには頑張れる。
想像力を働かせたくなる。
まさに、プレゼントを考えるように。
何をしたら喜ぶか?なんてことまで考えてくれるようになったら最高だけど。

なので、自分は打合せで笑いをとるように心がけている。
緊張と弛緩がいいバランスである会議は発想も広がり、
責任は担保しながらも積極的な意見が出て、
まとまりがあるいい形になる。
そんな感覚は稀にしかないが、その回数を増やしたい。

美しく仕事をする。
のひとつの表現として、「緊張と弛緩のバランスが良い状態」
と、言えるのではないだろうか?

ひとまず。

その②、、、以降に続きます。

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