「art biotop:水庭」石上純也
石上純也が設計制作し、2018年公開された「建築作品」、那須の「art biotop:水庭」を、先週末に見に行った。
現地に立つと、少々芝の疎なゴルフ場みたいな印象を覚えてしまったのだが、積極的に解釈すれば、ここは所謂「自然」な庭ではなく、全て建築的に構築し直された空間なのだから、当然でもあるだろう。かつて田圃だった土地に、ホテル建築のために隣地から抜かれた300本以上の樹木が植え直され、160もの池が造成された。石上は、その全ての樹木をナンバリングして一本ずつ模型を作り、形や種類を精緻に図面に落としてモデリングしたという。全ての池は、横を流れる川からの取水で満たされ流れるよう計算され、また樹木の根に干渉しないよう防水が施された。「自然」を錯覚させる人工づく計算づくの建築/アート作品なのだ。
2010年に豊田市美術館で行われた石上純也の個展を観たとき、気象など地球規模の現象を極小のスケッチに落とし込んだ繊細で詩的な作品群に、空想的建築の可能性のようなものを感じて清々しかったのを覚えている。その紙上の試みが、現実に建築されないからこそ素敵なものだったようにも思ってしまうのは…私の我儘ですね…