「終身雇用から終身信頼へ」 〜『仕事はもっと楽しくできる』より
先日、興味深い「朝渋」イベントに参加しました。
※朝渋は、渋谷・道玄坂のブックカフェ BOOK LAB TOKYO で開催されている朝活コミュニティです。http://asa-shibu.tokyo/
ONE JAPAN著『仕事はもっと楽しくできる』
この日の登壇者は、10月1日に発刊された『仕事はもっと楽しくできる』の著者 ONE JAPANの共同創業者・代表である濱松誠さん。
ONE JAPAN は「大企業の若手有志団体のコミュニティ」で、各企業での有志団体をつなぐ連合のようなもの。以下は、WebサイトにMissionとして記載されている文章です。
現在、大企業で働く多くの若手社員は、所属する組織内に存在する新しいことをやってはいけない空気、イノベーションを起こせない空気の中でさまざまな困難や、障壁、悩みを抱えています。
そして、私たちは挑戦すべき世代である若手社員が、この「空気」を読んでしまっている状態を大きな課題だと考えます。
ONE JAPANは大企業の有志団体が集まり、一人ひとりが刺激を受け、勇気を得て希望を見出し、行動するコミュニティです。挑戦する空気をつくり、組織を活性化し、社会をより良くするために活動を行います。
イベントでは、濱松さん自身はこんな説明をされていました。
組織を越えて個人をつなぐことで、「一歩踏み出す個人をつくる」「クロスバリューイノベーションを実現する」。もう若手とはいえない僕ですが、2001年から社内コミュニティの立ち上げ・運営に関わってきたため、とても共感できる理念です。
終身雇用から終身信頼へ
今回のイベントは時間が短かったこともあり、ONE JAPAN をつくるきっかけなった ”One Panasonic”(濱松さんがパナソニックで始めた有志団体)での話が中心でした。
入社前に感じたモヤモヤした想い、一歩踏み出して内定者懇親会や若手交流会を企画したときの喜び、One Panasonic を立ち上げ運営する中で感じたポイントなど、大いに頷ける話のオンパレード!
なかでも、個人的に一番響いたフレーズがこちらです。
『仕事はもっと楽しくできる』内では、アルムナイ(卒業生)ネットワークについて、こんな風に紹介されています。
画期的だったのは、社外からパナソニックの卒業生(アルムナイ)を呼んでトークイベントと交流会を開催したことだ。終身雇用が常識で、「一度会社を辞めた者は、他人である」と考える大企業が多い日本では、ある意味タブーのひとつとされていたことだった。(略)
「これからの時代は間違いなく、『終身雇用』から『終身信頼』の時代に変わっていく」
と濱松は言う。その時に、苦楽を共にし事業を進めた元社員との関係性を良好に保っていくことは、必ずや会社の資産になると濱松は考えている。
たとえ、どこかのタイミングで組織から離れることになっても、お互いを尊重して信頼関係を持ち続けていく。いつか時がくれば、一緒に仕事をしたり、共同プロジェクトを始めたり、場合によっては再度組織に加わる選択肢だってあってもいい。
それが「終身雇用から終身信頼へ」。
これからの時代を生きていく20代・30代の若手はもちろん、僕らミドル・ベテラン層こそ、意識して行動に活かしたい言葉です。
若手・ミドル・ベテランが繋がれば…
Panasonic社内での若手有志団体が起こした「つなぐ」活動は、同時多発的に(あるいは影響を与えあって)、他の企業でも活性化し、ついにはONE JAPANとして企業間をつなぐ活動にまで広がっています。
「大企業ってこんなもの…」という諦めではなく、「大企業ならでは」のリソースを活用した、さまざまな連携プロジェクトも動き出しているそうです。
僕が、仲間とともに社内技術者Q&Aコミュニティを立ち上げたのは、まだ「若手」と呼ばれていた31歳の頃。自分たちなりに縦・横・斜めに動いたつもりでしたが、同世代や入社したばかりの層にかなりの支持を得たものの、ミドルやベテランにはうまく広げることができませんでした。その進め方が戦略的でなかったり、振り切る覚悟が不十分だったんでしょう。
今回イベントの濱松さんトークや、著書に登場する方々の企業内での奮闘ぶりを読み、当時の自分に発破をかけたい気分になります。ONE JAPAN の活動は、すこしずつミドルやベテラン層にも広がっているようです。今後も、経営層やメディアでの後押しもあり、さらに広がっていくと期待しています。
おわりに
企業や組織が継続していくためのパワーやエネルギーを発揮していくには、若返りや世代交代は避けて通れません。
一方、健康寿命が延び、元気なシニアが増えてきたいま、定年退職まで指折り数えて無難に過ごすのはもったいないとも思います。
たとえ「おっさん」「しかばね」と言われようとも(笑)、企業内外コミュニティの動きをとらえて個々人が行動すれば、きっと「仕事はもっと楽しくできる」。
そう思えるイベント体験でした。
※Quora上の質問への回答でも、本書を紹介しておきました。