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HIROBA公式マガジン

水野良樹(いきものがかり)の実験的プロジェクトHIROBAの公式マガジンです。毎週金曜日にラジオ的長文コラム『そのことは金曜日に考えるから』が更新されます。その他の記事も随時更新…
ソングライター水野良樹が主宰するHIROBAの公式マガジンです。HIROBAは『つくる、考える、つ…
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2022年4月の記事一覧

そのことは金曜日に考えるから no.29

金曜日になりました。 Opening NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」。 4月の”つきのうた”は「うらら」でした。4月も終わりということで、この楽曲のオンエアが終わりますが、SNSで嬉しい反応をみかけることも多く、作曲者としてはホッとしているところです。 「おかあさんといっしょ」に楽曲を書かせていただくのは、今回で3回目。光栄なことだなと思います。最初に書かせて頂いたときは、息子が生まれたばかりでした。 息子は生まれたばかりだったので、まだテレビを見るような時期で

そのことは金曜日に考えるから no.28

金曜日になりました。 Opening 今日も横で犬が寝ています。 いつも「まだ起きてんのかよ」という感じで、ときに仰向けになって腹を出しながら、そして鼻からまるで人間の溜息みたいにふっと息を出しながら、かわいい寝姿をソファの隅で見せてくれています。 朝に書けばいいのだけど、夜に書いてしまうことが多い。 だから「早く寝ろよ」と犬に嫌がられるわけですが。 そのことは金曜日に考えるから…と言って、更新が日付をまたいで土曜日になってしまうこともありつつ、今日もつらつらと書きたい

読む『対談Q』 水野良樹×ジェーン・スー 第4回: 自分の居場所って、自分がいちばんわかるから。

結局、ユリイカのために生きている。 水野:読者のみなさんから、「同じような経験をした」とか、「文章に勇気をもらった」とか、たくさん来ますよね。なんなら、仕事のジャンルは違っても同じように、「何か自立の道を歩んでいきたい」とかおっしゃる方も多いと思うんですけど。そういう言葉に対しては、どんなふうに感じるんですか? スー:「わかる」って言ってもらえるのが、いちばん最初にポッと花開く感じ。熱がポッと上がる感じで嬉しいですね。で、次の段階になると、それをもう一段深めてくれたり、私

読む『対談Q』 水野良樹×ジェーン・スー 第3回:よくわからない踊り場にずっといる。

握手をしたのは、神だったのか悪魔だったのか。 スー:今、Netflixでカニエ・ウェストのドキュメンタリーやっているんですよ。これが秀逸すぎて、震えるので観てください。吐いちゃうかもしれない。 水野:どういう意味で? スー:カニエ・ウェストってまず、プロデューサー、ビートメーカーだったんです。でも始めたばかりの若いときは、まわりからすごく軽く扱われていて。結構なものに参加したのにクレジットが載ってないとかね。でもそんななかで、友達とか呼んで、いいアルバム作っていって、レ

読む『対談Q』 水野良樹×ジェーン・スー 第2回:神様から指さされているひとがいる。

渋公が即完になればいい。 スー:なんか私、ドームはやらなくていいんですよ。アリーナツアーもいらなくて、渋公が即完になればいいの。ちゃんと渋公の規模感を即完にしていくことが、すごく大事だと思う。 水野:これはねー、絶妙なところなんですよね。ライブハウス、コンサート会場あるあるの…たとえなんですけれど(笑) スー:そうなの。ここが意外といちばん難しいの。 水野:NHKホールまでいくと、テレビ出ている感が出ちゃうのかな。 スー:そうですね。 水野:渋公ってどっちも片足が

読む『対談Q』 水野良樹×ジェーン・スー 第1回: 「矜持」っていう言葉と「品」が近くなってきた。

嘘が漏れるのがすごく嫌。 水野:さぁ対談Qです。ゲストの方とひとつのテーマについて、一緒に考えて頂きます。今日のゲストは、コラムニストでラジオパーソナリティーのジェーン・スーさんです。よろしくお願いします。 スー:よろしくお願いします。ご無沙汰しています。 水野:1年半ぐらい前、いきものがかりのアルバム特典DVDのインタビュアーをジェーン・スーさんにやっていただきまして。そのときさりげなく、「HIROBAっていうのやっていまして、いつかいらしてください」って言ったんです

『小説家Z』 水野良樹×塩田武士 第4回:ご飯を食べる時間ももどかしい、あの瞬間がいちばん楽しい。

孤独は実生活で誰にでもできる。 水野:塩田さんからいただいた文章のなかにもありましたけど、作家が孤独になる瞬間も必要だと。すべてをいったんシャットアウトして、自分だけのなかで咀嚼というか、向き合う時間が必要だともおっしゃっていて。 塩田:孤独というと、普通は人間関係の線を思い浮かべると思うんですね。ひとと会わないとか。でもそれは、孤独ではなく孤立。僕は孤独になるって、人間関係の線を断つことじゃなく、時間のことだと置き換えているんです。 水野:はい。 塩田:そういう時間

『小説家Z』 水野良樹×塩田武士 第3回:物語の創作の基礎は、やっぱりテーマ。

僕は小説の力を信じていますから。 塩田:たとえば画家は、理想の線を手に入れるため、若い頃にずっとデッサンしておくのが基礎で。僕の場合、そのデッサンは新聞記者の経験なんですよ。ひとに会って、それを原稿にすることを繰り返して、観察眼と本質を抽出して執筆する。それを毎日、10年間やっていたことが基礎。 水野:はい。 塩田:水野さんの場合なら音楽。作曲者として、作詞家として、表に出るミュージシャンとして、間違いなく哲学はおありで。そこから生み出される小説だと思うんですね。だから

『小説家Z』 水野良樹×塩田武士 第2回:報道小説というジャンルを確立したい。

基礎があることに対するコンプレックス。 水野:リアルをむき出しで書いてしまうと、伝わりにくい部分、漏れてしまう部分、過度になってしまう部分もある。だから、その本質だけを抜き出す。その、「本質を抜き出して、わかってもらいたい」ってことと、「エンタメとして、こう見せたい」ってことのバランスってどうやって取っているんですか? 塩田:僕は取材でいろいろ経験して、実在の凄みは身に染みているんですね。実際にあることの尊さ。一方で、エンターテイメントもずっと好き。この2つが自分のなかに

『小説家Z』 水野良樹×塩田武士 第1回:8割の「書けないところ」を小説で書こうと。

僕ら、似ているんですよ。 水野:さぁ、小説家Zです。こちらのコーナーは、物語を書かれている作家さんに来ていただき、どのように物語の世界を立ち上げているのか、なぜ物語を書いているのか、2つの軸でお話をしていただきます。今日のゲストは作家の塩田武士さんです。よろしくお願いします。 塩田:どうぞ、よろしくお願いいたします。 水野:はじめまして。やっとお会いできました。 塩田:会いたかったんですよ。実は半年ぐらい前、講談社の編集者の方とお食事に行ったときに「塩田さん、同世代で

そのことは金曜日に考えるから no.27

金曜日になりました。 Opening 気温の上がり下がりが乱暴な日々ですが、皆さん、体調崩されていませんか? お気をつけください。季節の変わり目ってやつですかね。もうすぐ夏の匂いを感じるようになるのかな。自分は3月末に少し体調を崩していたので、今年の桜を見ることがほとんどできなかったんですよね。それだけが心残りだけれども。今年ももうすぐ3分の1が終わります。 こちらは1/3の純情な感情です。 少し話がそれますが、インディーズの頃、SIAM SHADEの栄喜さんに地元の

そのことは金曜日に考えるから

金曜日になりました。 Opening 体調を少し崩していた時期があったりして、曜日感覚がなくなってしまっていたんですが、やっと戻ってきました。そうです、今日は金曜日です。 少し遅めの更新となりましたが、こちらの番組の放送がありました。それを待っての更新です。ご覧いただけましたでしょうか。 「言葉にできない、そんな夜」 小沢一敬さんがMCをつとめる、新感覚国語エンターテインメント番組。 さまざまな”言葉にできない”感情を、どう言葉で表現していくのか。実際の名作なども例

そのことは金曜日に考えるから no.25

金曜日になりました。 Openingあっという間の年度変わりですね。2022年度さようなら。2023年度こんにちは。 小説家Z、彩瀬まるさんの回が公開されています。 こちら、テキストにもなっています。 手前みそですが、あらためて読み返してみると、とても面白い。膨大な情報量のあるテキストです。彩瀬さんがじっくりお話してくださったから、ということに尽きると思いますが、作家を志望されている方など、物語の立ち上げに興味がある方にはとても参考になるお話を伺えたのではないでしょうか