見出し画像

認知言語学の基礎まとめ 02

こんにちは。
昨日の記事に引き続き、認知言語学の基礎をまとめてみます。
今回は対話調はやめて、簡潔に。

本記事では、認知言語学の考え方で昨日書いた「比較」「一般化」「関連付け」とともに大切だとされている「経験」について書いていきます。ただ、この「経験」の項目は、多くの例文を含めて大切な話が出てくるので、一記事あたりのボリュームが増えすぎないように、複数回に分けようと思います。

引き続き、題材は籾山洋介さん著の「認知言語学入門」です。

それでは、さっそく。

経験

認知言語学において、一般的な認知能力の重視に加え、身体を通してのさまざまな「経験」が言語の習得、使用の基盤を成していると考える

みなさん、母語(私の場合は日本語)はいつの間にかできるようになっていましたよね。
これは自然にある音(の連続)と意味の結びつきを、何度もその語に触れるという経験を通して身につけていった結果です。

経験の例
突然ですが、「花束」と「花の束」の違いを説明できますか?
答えは以下です。

① 「花束」
複数の花を配置し全体として美しく見えるように束ねたもの
主にお祝いなどの贈答用(限定的

② 「花の束」
花の栽培農家の人が出荷するために花を束ねたもの

ここで言いたいのは、「花」と「束」それぞれの意味を知っていたとしても、「花束」の意味が自動的には分からず、経験として知る必要がある、ということです。
このように複数の構成要素からなる語を「合成語」といい、その意味は各構成要素の意味を足し合わせ以上の意味を持っている場合が多く、このような性質を「部分的合成性」と言います。

それでは、他にどんな合成語があるのか見てみましょう。

③「焼き鳥」
鳥肉を焼いたもの?
イメージしたのは、こんな感じじゃないでしょうか。

ですが実際は、小さく切った鳥肉を串に刺して、たれや塩で味付けして焼いたもの、です。
「焼き(焼く)」と「鳥」の意味だけでは導けない限定的な意味を持っていますよね。
④ 「酒飲み」
⑤ 「湯飲み」

同じ構成ですが、④は「人間」、⑤は「物」を表します。
構成要素から予測することができません。
⑥ 「物覚え」:物を覚えること
⑦ 「物入れ」:物を入れるもの、ところ
⑧ 「物書き」:物を書く人

いずれも構成は同じですが、やはり構成要素だけからは意味を導けません。
合成語全体として意味を持っている、ということです。

まとめ
合成語は構成要素の意味を基盤として、さらに意味が限定されたもの(部分的合成性という性質)であり、言語習得観点から見ると、経験的に身につけていく必要がある。


今回はこのへんで終わりにしたいと思います。
次回も認知言語学の基礎、「経験」についての続きを書きますので、お時間のある方はまたのお越しをお待ちしております。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?